【2月26日 AFP】総選挙を3月9日に控えたスペインで、ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ(Jose Luis Rodriguez Zapatero)首相(47)と野党国民党(PP)のマリアノ・ラホイ(Mariano Rajoy)党首(52)は25日、90分間のテレビ討論会を行い、経済問題やテロ対策について激論を交わした。

 スペインで次期首相候補が討論会を行うのは1993年以来。

■現首相、任期中の成果を強調

 ラホイ氏は、サパテロ首相の任期中、生活必需品の物価上昇が実質賃金の伸びを上回ったと指摘。一方、失業率は上昇中で、政府は対策を何もとっていないと批判した。

 これに対しサパテロ首相は、自身の4年の任期中に国内総生産(GDP)は欧州連合(EU)平均より高い年平均3.8%ずつ成長し、300万人分の雇用を創出したと成果を強調。

 同首相は、来年のスペイン経済は成長が緩やかになるものの、ほかのEU加盟国よりは高い成長率を維持すると予測した。

 サパテロ首相の任期中、スペインはEU域内の雇用創出を先導し、2007年第2四半期には1978年以来最低となる失業率7.95%を記録した。

 しかし同年後半、米国の低所得者向け融資(サブプライムローン)に端を発した信用収縮の影響を受け、建設部門の業績が悪化したことから失業率は再び上昇し始め、2007年第4四半期の失業率は8.6%となった。

■ETA問題で議論過熱

 討論会で最も議論が過熱したのは、テロ対策についてだ。サパテロ首相は前年末、2006年12月に発生したマドリード(Madrid)のバラハス国際空港での爆破事件後も、反政府組織「バスク祖国と自由(ETA)」と対話を続けていたことを明らかにしたが、ラホイ氏はこれについて首相は嘘をついたと批判した。

 同首相は、政府とETAとの交渉が失敗に終わったことを擁護。和平交渉は自身の義務だと主張した。

 ETAはバスク(Basque)地方の分離独立を求めて40年近くも闘争を続けており、これまでに同国内では819人が死亡している。

 サパテロ首相はまた、ラホイ氏への反撃を展開。2004年3月11日に起きたイスラム原理主義勢力によるマドリードの列車爆破事件を、PPはETAに罪を着せようとしたと指摘した。

■来月の総選挙も激戦の予想

 世論調査では、来月実施される総選挙も数十年ぶりの激戦が予想されている。

 どの候補者も決め手を欠いているが、討論会後の世論調査では、サパテロ首相の勝利を予想する有権者が多数を占めた。

 民放テレビ局「クワトロ(Cuatro)」と調査会社「Instituto Opina」が実施した世論調査では、有権者の45.4%がサパテロ首相、33.4%がラホイ氏が討論会の勝者と判断したという。

 また支持率では、首相率いる社会労働党がPPをわずかにリードしている。(c)AFP/Daniel Silva