【2月20日 AFP】(2月20日 写真追加)18日に実施されたパキスタンの総選挙で19日、野党の圧勝が確定した。前年12月に暗殺されたベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元首相のパキスタン人民党(Pakistan People's PartyPPP)が第1党となり、第2党となったパキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派(Pakistan Muslim League-NawazPML-N)との連立に向けた動きが始まった。

 選挙管理委員会の発表によると、全272選挙区中、258の選挙区でPPPとPML-Nが153議席を獲得。一方、与党パキスタン・イスラム教徒連合クアイディアザム派(Pakistan Muslim League-QuaidPML-Q)の獲得議席数は58議席にとどまった。

 ブット元首相の夫でPPP共同総裁のアシフ・ザルダリ(Asif Zardari)氏は、ムシャラフ大統領派と協調する考えはないとし、米国主導の「テロとの戦争」に反対する主要政党との連立を明言した。

 また、PML-Nを率いるナワズ・シャリフ(Nawaz Sharif)元首相は「(選挙に先立ち)ムシャラフ大統領はパキスタン国民の声に従うと語った。そして今、(ムシャラフ政権にノーをつきつけた)国民の裁定が下ったのだ」と述べ、21日にもザルダリPPP共同総裁と連立に向けた協議を行う方針を明らかにした。

 2度の首相経験を持つシャリフ元首相は、1999年にムシャラフ大統領の無血クーデターにより国外追放処分とされた経緯がある。

 野党の圧勝をうけ、ペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領の退陣を要求する声も高まっている。

 非公式ながらPPPとPML-Nの圧勝が明らかになると、国内各地で祝砲が鳴り響いた。

 ムシャラフ大統領が前年11月に非常事態を宣言して以来、自宅軟禁下にある民主化運動家のAitzaz Ahsan弁護士は、同大統領は「パキスタンで最も嫌われている人物」であり、辞任すべきだと語った。

 一方、ムシャラフ大統領の報道官は、大統領への辞任要求を明確に拒絶し、同大統領はどのような新政権が誕生しても共に働く意欲を示していると述べた。(c)AFP/Sami Zubeiri