【12月21日 AFP】地中深くの油田から宇宙空間まで、2007年は中国の技術発展があらゆる分野で実証された一年となった。2008年には北京五輪の開催も予定され、同国の影響力拡大に拍車がかかると予想される。

■躍進する経済、拡大する貿易黒字

 5か月連続で2ケタの経済成長を記録した中国は、まもなくドイツを抜いて世界第3位の経済大国となる。急成長する同国の経済はこの一年、国内外に大きな影響をおよぼしてきた。

 上海(Shanghai)株式市場では個人投資が急増し、株価が高騰した。国内各地では高層ビルや工場の建設が尋常ならざる勢いで進む。安価な中国製品は世界中に輸出され、中国への投資も拡大。2007年の年間貿易黒字は、過去最高の2000億ドル(約23兆円)を超えるとみられる。

■顕在化する諸問題

 一方で、国際市場で拡大する中国の影響力は数々の問題も引き起こしている。米欧は今年、中国に大規模な著作権侵害などの不正な貿易慣行があるとして、世界貿易機関(World Trade OrganisationWTO)に提訴した。

 また人民元改革をめぐっては、元安によって中国企業が不当に利益を上げているとの批判から、切り上げ圧力がさらに高まった。米欧は、国際競争力を維持したい中国当局が意図的に元安政策を取っているとみている。

 輸出された中国製品の安全性と品質基準の問題も次々と明らかになった。

 問題は経済分野にとどまらない。ダルフール(Darfur)問題が注目を集めるスーダンや、核開発問題が指摘されるイランと原油協定を締結するなど、独自路線を貫く中国のやり方には人権軽視、国際社会への配慮に欠けるとの大きな批判が向けられた。

■五輪控え環境汚染に注目

 中国経済の拡大に伴うマイナス面の1つは、環境への影響であることは否定できない事実だ。国際エネルギー機関(International Energy AgencyIEA)は11月、中国が米国を抜いて、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの最大の排出国になったと発表した。
 
 北京の大気汚染は、北京五輪開催にも暗雲を投げかけている。国際オリンピック委員会(International Olympic CommissionIOC)のジャック・ロゲ(Jacques Rogge)会長は、大気汚染が深刻な場合、五輪の開催延期もあり得るとして警告を発している。(c)AFP/Karl Malakunas