【12月15日 AFP】ロシア軍参謀総長のユーリー・バルエフスキー(Yury Baluyevsky)上級大将は15日、欧米は欧州地域での軍縮を利用して策略をめぐらしていると非難し、米国が東欧への配備を計画している迎撃ミサイルが仮に発射されれば、ロシアによるミサイル攻撃を誘発する恐れがある警告した。

 ロシアは12日、欧州通常戦力(Conventional Forces in EuropeCFE)条約の履行を一時停止した。同条約は、大西洋岸からロシアのウラル山脈(Ural mountains)にかけての地域に欧州各国が配備する通常兵器と地上兵力を制限する主要な軍縮条約の1つ。

 CFE条約の履行停止により、ロシアは法的には自由に兵力の拡充ができるが、バルエフスキー参謀総長は北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty OrganisationNATO)の東方拡大を非難しながらも部隊を増強する計画はないと述べた。

 同参謀総長は米国が東欧で計画しているミサイル防衛(MD)施設配備計画も非難。米国はイランからのミサイル攻撃に備えるためとして、ポーランドに迎撃ミサイル施設、チェコにレーダー施設の設置を計画している。米国はロシア側にこの問題についての協議を提案したが、同参謀総長はこれを受け入れない意向を示した。またMD施設の東欧配備はロシアを想定したものとしか考えられないと述べ、米国の主張に異議を唱えた。

 セルゲイ・キスリャク(Sergei Kislyak)外務次官も記者会見で、米露ミサイル防衛協議の結果に「失望した」と述べ、参謀総長と同様の姿勢を示した。

 参謀総長はさらに、米が迎撃ミサイルを発射した場合、ロシアを標的とした弾道弾ミサイルの発射と間違えられる可能性があり、ロシアのミサイル攻撃を誘発しかねないと警告した。(c)AFP/Dario Thuburn