2007年8月28日、米国ニューオーリンズ(New Orleans)のファミリー・ジャスティス・センターでの式典に出席するアルベルト・ゴンザレス(Alberto Gonzales)司法長官。前日辞任を発表した。(c)AFP/Paul J. Richards
【12月13日 AFP】米国法曹協会(American Bar Association、ABA)発行の全米トップ司法関連誌「ABAジャーナル(ABA Journal)」は12日、2007年度の「ロイヤー・オブ・ザ・イヤー(Lawyer of the Year、今年の法律家)」賞をアルベルト・ゴンザレス(Alberto Gonzales)前米司法長官に授与すると発表した。
ゴンザレス前司法長官は、2007年の大半を連邦検察官の解任問題をめぐる野党との攻防に費やし、最終的に辞任に追い込まれたが、その「かいあって」今回の受賞に至ったといえる。ゴンザレス氏は長年、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領の個人的な政治顧問で、2005年2月から2007年9月までは司法長官を務めた。「ABAジャーナル」は同氏を「今年、ニュースの見出しを最も多く飾った法律家」と表現している。
■問題続きで見出しを飾ったゴンザレス前司法長官
同誌編集者エドワーズ・アダムス(Edward Adams)氏によると、ゴンザレス氏の報道が相次いだ理由は、ブッシュ政権が秘密裏に行ってきたとされる令状なしの盗聴プログラムで担った中心的役割や、「テロとの戦い」で拘束した容疑者らに対する手荒い尋問方法を法的に正当化したことなどが主だという。特に後者では拷問を許可したとされ、さらに、政治的理由から、少なくとも連邦検察官8人の解任を工作したとされる点なども「評価対象」となった。
検察官解任をめぐる公聴会について、同誌は「ブッシュ大統領はゴンザレス氏を非常に目に掛けており、最高裁に電話をかけるときもあだ名で呼んでいた。しかし、ゴンザレス氏は上院司法委員会で行った証言の信ぴょう性が問われ、8月に辞任する結果となった」と説明している。
また、「ウォーターゲート事件以前の大統領権限を復活させる」ため、司法長官としてのみならずホワイトハウス(White House)の法律顧問としても「隠密工作」を率いたと同誌は指摘している。「そうした彼の決意は、不祥事として明るみになった事件にすべて表れている」とし、その例として、「(法律顧問時代に)入院中だった当時のジョン・アシュクロフト(John Ashcroft)司法長官に、裁判所の令状なしでの国民の盗聴を承認するよう迫ったこと」を挙げている。また、この時に、ゴンザレス氏とその側近が病室を去った後、アシュクロフト氏に付き添っていた夫人が、ゴンザレス氏が去った方向に向かって『舌を出した』という逸話を紹介している。
■授賞基準は「ニュース性のある法律家」かどうか
「『ロイヤー・オブ・ザ・イヤー』賞の授与基準は、最もニュース性の高い法律家は誰だったかという視点にある」とアダムス氏はいう。ゴンザレス氏がどれほど強烈な印象を与えたかについての評価は避けたが、「影響のある人物だったことは明白で、それについては疑いない」と語った。
最高賞に続く入賞者にも、さまざまな法律家の名前が並んだ。大統領の行政権限強化を求める動きの中で同様にブッシュ大統領の信頼を得ていたディック・チェイニー(Dick Cheney)副大統領の首席補佐官、デービッド・アディントン(David Addington)氏は「チェイニー副大統領の信条を共有し、戦争時には大統領権限は制限されるべきではなく、拷問や秘密の拘束、令状なしの盗聴といった厄介な問題を処理する上で自由裁量権を持つべきだとの考えの持ち主」と同誌に評されている。
ゴンザレス前長官辞任を招いた長官の元側近、モニカ・グッドリング(Monica Goodling)氏は、連邦検察官解任事件に絡んだ自身の辞任に続いてゴンザレス前長官の辞任も招き、「過剰なほどに熱心で問題のある法的措置」が耳目を集めたとして入賞した。
また、米中央情報局(CIA)工作員身元漏えい事件における偽証で有罪となったルイス・リビー(Lewis Libby)副大統領元補佐官や、同事件を担当したパトリック・フィッツジェラルド(Patrick Fitzgerald)特別検察官など16人が入賞者とされた。
このほか、男性誌『プレイボーイ(Playboy)』の元プレイメイトだった故アンナ・ニコル・スミス(Anna Nicole Smith)さんの生前、最後の恋人となった弁護士ハワード・スターン(Howard Stern)氏や、俳優ジョージ・クルーニー(George Clooney)が映画『マイケル・クレイトン(Michael Clayton)』で演じる汚れ仕事から正義に目覚める弁護士といった「変わり種」の法律家も挙げられた。
■来年度の授賞はムケージー現司法長官か
一方、同誌は異例ながら、翌2008年の「ロイヤー・オブ・ザ・イヤー賞」予測も併せて発表。最高賞の本命としてゴンザレス氏の後を引き継いだマイケル・ムケージー(Michael Mukasey)司法長官を挙げた。(c)AFP