【11月9日 AFP】(一部更新)来日中のロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官は9日、都内で講演し、安全保障問題で日本により大きな責任を担うよう求めた。

 ゲーツ長官は「日本は政治的、経済的、軍事的能力に見合う役割を担う機会と義務がある。それが米国が日本の国連安全保障理事会(UN Security Council)常任理事国入りを強く支持する理由だ」と語り、日本に安全保障面でのさらなる貢献を求めた。

 さらに長官は「米国は長年、アジア諸国と良好な関係を築いてきた。率直に言って、アジア諸国間の関係よりも良好な関係だった」と語った上で、「今こそ、米韓日、あるいは米日豪の3国間連携、さらにインドの参入を促すいい機会だと思われる」と指摘し、冷戦時代を通じて米国がアジア太平洋地域で築き上げてきた2国間関係をさらに深めるべきだとの見方を示した。

 同時に、「アジア太平洋諸国が安全保障問題で米国だけに依存せず、自国の安全保障に今以上に責任を持つ必要がある」とも述べ、安全保障問題での米国への一存をやめ、各国間で協力体制を強化するよう呼びかけた。

 一方で駐留米軍については、「われわれが兵力を削減するのはアジア諸国、特に日本ならびに韓国との同盟関係が成熟してきたためだ。アジア太平洋地域への関心が薄れたわけではない」と説明した。

 今回の来日でゲーツ長官は複数の会談に臨んだ。1週間にわたる東アジア歴訪の全日程を終えて米国に発つ前に報道陣に対し、それら全ての会談で駐留米軍経費の日本側負担について触れ、同盟国として現在の年間約50億ドル(約560億円)を維持するよう求めたことを明かした。

「日米同盟は両国にとって実りのあるものだが、特に日本には非常に大きな利益をもたらしている。(日本の経費負担は)単なる金銭的支援ではなく、同盟が健全なものであることを示す『象徴』なのだと伝えた」と語った。

 日本政府は安全保障の面で多くを米国に負っているが、駐留米軍経費の日本側負担の削減を申し出ている。(c)AFP