2007年11月5日、パキスタン・イスラマバード(Islamabad)で、議会と最高裁に通じる道路上で身分証明書を確認する警察官。(c)AFP/Aamir QURESHI
【11月5日 AFP】(一部更新、写真追加)米国防総省は5日、パキスタンでペルべズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領が非常事態宣言を発令したことを受け、6日から予定されていた同国との年次軍事協議を延期すると発表した。
ムシャラフ大統領は前週末、非常事態宣言を発令し、憲法の効力を停止した。10月初旬に行われた大統領選ではムシャラフ氏が勝利したが、軍職を兼任したままの立候補について最高裁で違憲審理が行われていた。ムシャラフ氏に不利な判決が出ると憶測されていたが、強権発動により、大統領は最高裁長官を解任した。
6日、パキスタン数都市の裁判所前では、弁護士らによるグループが相次いで抗議行動を行った。事実上の戒厳令下、警察は催涙弾や警棒などを使用して激しく弾圧し、多数を逮捕したほか、数人が負傷した。弁護士や法律家が一斉に逮捕された例としてはパキスタンで過去最多だという。
■米、援助計画見直し
米国防総省のエリック・エデルマン(Eric Edelman)国防次官を団長とする米側代表団は6日から、パキスタンで2日間の協議を予定していたが、同国の政情が改善するまで代表団派遣を中止すると、同省のジェフ・モレル(Geoff Morrell)報道官が発表した。
同報道官は「重要なこの2国間協議では、すべての議題について、参加者全員が完全に集中する雰囲気が必要だ。目前の重要事項がより達成しやすい状況になり次第、再度協議日程を組みなおしたい」と述べた。
モレル報道官と北京を訪問中のロバート・ゲーツ(Robert Gates)国防長官は同日、ムシャラフ大統領に対し、早期に非常事態宣言による憲法停止措置を解くよう要請した。
ゲーツ長官はまた、「テロとの戦い」における主要同盟国パキスタンに対し、テロ対策への悪影響が出ないよう留意しつつも、「米政府は援助計画を見直している」と述べた。英国も援助計画の見直しを検討している。
■各地で抗議、弁護士の逮捕者、過去最多
ラホール(Lahore)ではこの日弁護士らによる最大の抗議行動が行われた。高等裁判所前での行動には約1000人が参加したが、警官隊が催涙弾を発射、頭部を負傷した弁護士数人が待機していた車両で急送された。また逮捕者の中には、退官した女性判事も含まれていた。
カラチ(Karachi)では警官隊と準軍事組織が高等裁判所を封鎖し、裁判所の外にいた弁護士らを弾圧したと目撃者は話している。ほかにもラワルピンディ(Rawalpindi)やムルタン(Multan)、ペシャワル(Peshawar)でも警官隊と弁護士グループの衝突が起こった。
Rashid Razvi元カラチ高裁判事は、「パキスタンの歴史において、これだけ多くの数の法律家が逮捕されたことは初めてだ」と述べた。カラチでは100人以上の法曹関係者が逮捕されたという。
ムシャラフ大統領は、再選された場合に軍職を辞するとしていた誓約さえも現在は「保留だ」と述べ、非常事態宣言解除を要請する国際社会の非難も意に介していない。
パキスタンのタリク・アジーム(Tariq Azeem)副情報相は、「ムシャラフ大統領は最高裁に対し、再度大統領に就任する前に軍職を離れると約束していたが、非常事態宣言により、その誓約は宙に浮いた状態だ」と述べた。(c)AFP/Sami Zubeiri