米ワシントンD.C.にあるホワイトハウスのシチュエーション・ルームのロゴ(2007年5月18日撮影)。(c)AFP/SAUL LOEB
【11月5日 AFP】第44代米国大統領を選ぶ2008年11月4日の大統領選挙まであと1年。民主党はトップを走るヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員に対して対立候補が攻撃を強め、共和党は各候補が横並びでしのぎを削る展開になっている。
米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は4日の紙面で特集を組み、「党大統領候補の指名争いが激化する中、共和党と民主党は、党の存続理由そのものをめぐる内部抗争を経ることになる」と解説した。
各候補とも、大統領選まであと1年に迫ったことにはほとんど触れなかったが、ここ数か月で一層加熱してきた舌戦が衰える気配はない。
■クリントン攻撃に躍起の民主党候補
民主党で支持率2位に付けているバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員は4日発売のニューズウィーク(Newsweek)誌でも、複数の政策に関してクリントン候補を攻撃した。
クリントン候補の夫、ビル・クリントン(Bill Clinton)氏は大統領として失敗したと思うとオバマ氏は言い、移民政策に関するクリントン候補の発言には矛盾があると改めて批判した。クリントン陣営は3日、オバマ候補が支持率で追いつけないから攻撃に出ているのだと揶揄(やゆ)していた。
全米に先駆けて党員集会が開かれるアイオワ(Iowa)州で、クリントン、オバマ両候補に僅差で迫っているジョン・エドワーズ(John Edwards)元上院議員もクリントン候補批判を展開。ABCニュースに対し、クリントン候補は米国政府の「腐敗したシステム」の一員だとこきおろした。
今回の大統領選はかつてない長期戦となり、選挙費用も過去最高を記録している。現職の大統領または副大統領が出馬しないのは1928年以来で、過去数十年で最も開かれた選挙となっている。しかし各陣営の選挙広告キャンペーン、何百万ドルもの資金集め、激しい政治的駆け引きは、あと1年続くことになる。
米国初の女性大統領を目指すクリントン候補は、アイオワ州の党員集会を2か月後に控えた段階で、全国レベルでも州レベルでも主な世論調査で民主党のトップに立つ。
ニューズウィークが4日に発表した世論調査でもクリントン候補の首位は揺るがなかった。30日の討論会で集中攻撃を受けたにもかわらず、民主党に投票予定の有権者のうち44%がクリントン候補を支持。オバマ候補は24%、エドワーズ候補は12%にとどまった。
共和党候補との争いでも、同調査の支持率はルドルフ・ジュリアーニ(Rudolph Giuliani)前ニューヨーク市長の45%に対し、クリントン候補は49%とわずかな差でリードを保っている。
オバマ氏は米国初の黒人大統領を目指し、カリスマ的な弁舌で大統領候補にのし上がったが、まだ期待を現実のものにできていない。
2004年の大統領選挙を副大統領候補として争ったエドワーズ氏は、民主党の有力候補として生き残りを目指し、1月3日のアイオワ州の党員集会に望みを託す。
■候補絞りきれない共和党
一方、共和党はまだ最有力候補を絞りきれずにいる状態だ。
全米の世論調査ではジュリアーニ候補が首位に立っているが、同性愛者の権利と妊娠中絶に関する姿勢が原因で、キリスト教保守層には距離を置かれている。ミット・ロムニー(Mitt Romney)前マサチューセッツ(Massachusetts)州知事は、候補者選びの鍵を握るアイオワ州とニューハンプシャー(New Hampshire)州でトップに立つが、モルモン教徒であることから一部の伝統的なキリスト教信者の支持を得られずにいる。
こうした状況を突いて浮上を狙う元俳優のフレッド・トンプソン(Fred Thompson)元上院議員は今のところ目論見通りにいかず、かつて最有力候補だったジョン・マケイン(John McCain)上院議員は資金不足で苦戦している。
横並びから抜け出す鍵は、ブッシュ大統領の「遺産」をどう評価し、不人気のイラク戦争を共和党支持にどう結びつけるかにかかっている。
現政権のこれまでの政策に対する国民の怒りは高まっており、世論調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の10月の支持政党調査では、民主党支持が50%で共和党の36%を上回った。
選挙の争点としては、イラン問題および同国の核施設に対する米国の武力攻撃の可能性が急浮上。健康保険、経済、「対テロ戦争」も大きな争点となっている。
党の候補者指名に向けた従来の段階的な手順も崩れ始めている。カリフォルニア(California)、フロリダ(Florida)などの大票田州は、アイオワ州やニューハンプシャー州の及ぼす影響に苛立ち、党員集会や予備選の日程を前倒しした。
大統領選に出馬表明しながら支持率が伸び悩んでいる民主党のクリストファー・ドッド(Christopher Dodd)上院議員は4日、前哨戦の世論調査結果を受けてCNNニュースで次のようにコメントした。「世間は本当の意味で選挙に注目し始めたばかりだ。数か月前に比べ、今後の展開は一層見えにくくなっていると思う」(c)AFP