【10月24日 AFP】フランスとモロッコは22日、民間と軍事関連で総額20億ユーロ(約3300億円)を超える契約に調印した。フランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領は現在、モロッコを公式訪問中。

■TGV建設で契約調印

 大統領の側近によると、最大規模の契約は、モロッコ北部のタンジール(Tangiers)とカサブランカ(Casablanca)を結ぶ高速鉄道TGVの建設で、総工費は20億ユーロに上る見込み。この約半分がフランスのTGV製造企業、アルストム(Alstom)と、フランス国有鉄道(SNCF)、フランス鉄道線路事業公社(RFF)の受注分となる。

 第1区間のタンジール-ケニトラ(Kenitra)間では、2013年の運行が開始予定。全線が開通すると、タンジシール-カサブランカ間の所要時間が、現在の5時間から2時間強にまで短縮されるとアルストムでは算出する。これまで、アルストムの欧州以外におけるTGV車両納入の実績があるのは韓国のみ。

 同社はまた、車両「プリマ(Prima)」20台の納入と北東部のウジュダ(Oujda)近郊に発電所を建設する2億ユーロ(約330億円)の契約にも調印した。

■軍事関連でも契約相次ぐ

 軍事関連では、多目的フリゲート艦「FREMM」納入、5億ユーロ(約820億円)の契約が結ばれ、ヘリコプター「ピューマ(Puma)」25機と装甲車140台を最新型にする。また、国境監視設備の納入でも契約が結ばれた。

 フランスの原子力関連企業、アレバ(Areva)はモロッコのシェリフィアンリン公社(OCP)と、過リン酸塩からのウラン抽出に関する契約書草案に調印した。

■就任後、初の外国公式訪問

 サルコジ大統領は同日、3日間の日程でモロッコへの公式訪問を開始、両国間の関係強化を目指す。同大統領の海外公式訪問は、5月に大統領に就任以来、今回が初。

 同国中心都市マラケシュ(Marrakesh)の空港には、国王モハメド6世(King Mohamed VI)らが出迎え、盛大な歓迎式典と公式レセプションのため大統領を市内に案内した。

 滞在中、サルコジ大統領は、自身が提唱する新しい地中海連合構想の擁護を試みると見られている。アフリカ移民の欧州への通過地点であるモロッコは、すでにこの構想に関心を示している。

 両国はまた、司法協力協定に調印することになっている。協定には、フランスとモロッコの二重国籍を持つ場合、身柄を拘束された本人が服役する国を選択できるなどの合意事項が盛り込まれている。

 パリ(Paris)を拠点とする国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団(Reporters Without Borders)」は、モロッコにおける報道の自由の現状が「著しく悪化している」として、サルコジ大統領に対しモハメド国王との会談で、この問題を提起するよう求めている。(c)AFP/Nadege Puljak