【10月18日 AFP】(10月19日、一部更新)米議会がチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世に勲章を授与したことについて、中国政府は18日、駐中米大使を召喚し公式に抗議を申し入れた。またジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領によるチベット問題についての助言を退けた。

 楊潔チ(Yang Jiechi)外相は同日、北京に駐在するクラーク・ラント(Clark Randt)米大使を召喚し、「強い抗議の意」を伝えた。

 外務省の報道官は「中国政府は米国政府に対し、同国の誤った行為によってもたらされた大きな悪影響を取り除く措置を即刻取るよう求める」と述べ、二国間関係にとっての打撃だと再警告した。

 同報道官によると、中国側は米国に対し「チベットの祖国分裂主義者に対する支持や、中国に対する内政干渉をやめ、中米関係を守るために具体的措置を取るよう」求めた。

■「チベットの独立ではなく自治権」、ダライラマは再度主張

 ダライ・ラマは17日に行われた勲章の授与式で、チベットの独立ではなく自治権を求めていると再度主張し、中国政府に対し対話を呼びかけた。

 ダライ・ラマはまた、中国統治下のチベットで社会的および環境的に「深刻」な問題が発生していると訴えた。近年のチベット内における中国人人口の急激な増加を指摘し、「ラサ(Lhasa)の人口を例に挙げて判断すれば、同地域内でチベット人が少数派となる危険性が間近に迫っている」と説明した。

 また、急激な人口増加により、チベットの環境が「深刻な脅威」にさらされているとも警告した。(c)AFP