【10月17日 AFP】ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は16日、中国政府が強く反発する中、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世と「私的な」会談を行った。ホワイトハウス(White House)が明らかにした。翌17日には米議会で行われる、ダライ・ラマへの「議会名誉黄金勲章(Congressional Gold Medal)」授与式も控えている。

 ダライ・ラマは会談後、側近を通じ「ブッシュ大統領に対し感謝の意を表する。大統領はチベットの情勢を深刻に受け止めてくれた。われわれはさらに親交を深めた」と述べた。

 会談はホワイトハウスの大統領居住区にある、通称「Yellow Oval」と呼ばれる部屋で30分にわたって行われたが、ダライ・ラマはその後、何の発表もなく退席した模様だ。

 両者の会談は今回で4度目となる。また、17日に米議会で行われるダライ・ラマへの「議会名誉黄金勲章」授与式ではブッシュ大統領の演説も予定されている。この勲章は、米議員から一般市民へ贈られるものとしては最高位のもの。

■中国政府にも配慮

 米政府は一方で、ダライ・ラマ訪問による外交的影響を緩和させたい意向だ。

 ダライ・ラマをチベットの分離独立を目指す「祖国分裂主義者」と見なす中国政府は、勲章の授与について激しく反発しており、米政府に対し、授与式の中止を求め、授与式を断行した場合は米中関係を「著しく脅かし」、関係悪化の可能性があると警告した。

 この授賞式は、現職の米大統領がダライ・ラマと同席する初の公の場となる。

 ホワイトハウスのダナ・ペリノ(Dana Perino)報道官は、「われわれは議論を巻き起こすつもりはないし、またわれわれが中国政府を攻撃していると考えて欲しくない」とし、「われわれは中国からの分離を試みる、いかなる国も支持しない」と表明した。

 ホワイトハウスは、イランおよび北朝鮮の核開発問題の打開に向けた中国政府の役割を配慮し、ブッシュ大統領とダライ・ラマの会談の日程を特定せず、また会談の内容や写真の公開を控えて象徴的意味合いを弱め、中国政府の怒りを静めると見られている。(c)AFP/Olivier Knox