【10月1日 AFP】(一部更新)ミャンマー軍事政権に抗議する僧りょや市民によるデモを当局が武力鎮圧する中、邦人ジャーナリストが射殺された事件を受けて日本政府は1日、「厳格な措置」を検討すると発表した。

 反政府デモを取材中にジャーナリスト長井健司(Kenji Nagai)さん(50)が射殺さた事件に関連し、ミャンマー入りしている藪中三十二(Mitoji Yabunaka)外務審議官は同日、軍事政権幹部らと会談し、同政府に真相解明と関係者の処分を求めるほか、デモに対する武力制圧に抗議する予定だ。また、民主化プロセスを加速するよう要請する。

 長井さんの死亡状況については、背後から至近距離でミャンマーの治安部隊によって銃撃されたビデオ映像が公開されている。

 町村信孝(Nobutaka Machimura)官房長官は記者会見で、「今後、国際機関などの場での議論も進んでいくだろうから、そうした結果を踏まえ、強い措置を含めて、さまざまな方策を考えたい」と述べた。

 報道によると、日本政府は「強い措置」として、駐ミャンマー大使の引き揚げや軍事政権幹部へのビザ発給の停止などを検討しているという。

 ミャンマーでの抗議デモを武力弾圧した同軍事政権について、事件発生まで日本は珍しく欧米各国に協調せずに、経済援助の停止を拒んでいた。

 外務省の南部アジア部および国際協力局の高橋礼一郎(Reiichiro Takahashi)参事官は、「強い措置」は経済協力に限らず、日本とミャンマーの関係全般に影響するだろうと報道陣に語った。

 前日、外務省幹部とミャンマーの状況について協議した高村正彦(Masahiko Komura)外相は、今回のデモについて、ミャンマー国民の不満が充満していた結果であり、根本的解決には民主化しかないと述べた。

 福田康夫(Yasuo Fukuda)首相は同日の国会での所信表明演説で、ミャンマーでの邦人死亡について、「情勢が悪化したミャンマーで、邦人が亡くなったことは誠に遺憾。成長著しいアジアだが、このようなぜい弱性も抱えている」と触れた。(c)AFP