【9月29日 AFP】(一部更新)ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は28日、ワシントンD.C.で開催された米国主催の地球温暖化問題に関する国際会議で演説し、地球温暖化対策は経済成長を阻害しない形で行われるべきだとの見解を示した。また、来年夏ごろをめどに、この問題に関する首脳級協議を開催することを提案した。

■「経済成長を阻害しない気候変動対策を」

 ブッシュ大統領は、会議最終日の午前中に約10分間のスピーチを行い、「われわれの基本理念は明白だ。主要国各国は世界の温室効果ガスの排出削減を先導するとともに、経済成長を阻害しないように計画を進めなければならない」と述べ、強制力を伴う温室効果ガスの排出制限に改めて反対する姿勢を示した。同大統領は地球温暖化を防止するために「各国がそれぞれに適した手段と技術を駆使するべきだ」と語り、「米国は昨年、経済成長と温暖化ガスの排出削減を同時に達成した」と強調した。

■クリーンエネルギー開発基金の設立を提案

 また、ブッシュ大統領は同日、発展途上国におけるクリーンエネルギー開発を支援するための新しい基金の設立を提案。「特に発展途上の国々で、技術を広く利用可能にしなければならない」と述べた。資金は「世界各国の政府からの寄付によってまかなう」という。

 コンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)米国務長官は27日、ブッシュ大統領就任後としてはもっとも強い表現を用いて、地球温暖化の脅威に懸念を表明。翌日の演説でブッシュ大統領がこれまでの政策方針を転換し、ライス長官の演説内容と同様の見解を示すかどうかが注目されていた。

■専門家は米国の政策転換に懐疑的

 ブッシュ大統領は、国連気候変動枠組条約(United Nations’Framework Convention on Climate ChangeUNFCCC)の合意に向けた協議に積極的な姿勢をみせたが、専門家らは、温室効果ガス排出量第1位の米国が実際に温暖化対策に取り組むかどうかについては懐疑的だ。

■12月には国連会議が開催予定

 12月3日から14日の日程でインドネシアのバリ(Bali)島で開催予定のUNFCCC第13回締約国会議(COP13)では、2012年に期限切れを迎える「京都議定書(Kyoto Protocol)」後の包括的枠組み合意に向け協議が行われる予定。UNFCCCは、先進国に対し温室効果ガスの排出制限を義務づけるもので、これについてブッシュ大統領は2001年以降、強く反対していた。

 今回の会議には、主催国の米国をはじめ、オーストラリア、英国、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、韓国、メキシコ、ロシア、南アフリカの16か国の代表が参加している。(c)AFP/Richard Ingham