【9月23日 AFP】(写真追加)安倍晋三(Shinzo Abe)首相(53)の辞意表明に伴い、23日に投開票が終了した自民党総裁選挙で、福田康夫(Yasuo Fukuda)元官房長官(71)が、同党の総裁に選出された。 25日の国会での首相指名投票で第91代首相に選出されれば、史上初の「親子2代」首相となる。また、前任者の安倍氏が史上最年少の首相だったことと対照的に、1991年以降では最高齢の首相誕生となる。

 安倍首相はその若さから経験不足だとの批判を招いたが、福田氏は自民党内でもベテランの政治家で、調整役としての手腕に評価が高い。外交政策的には穏健派として知られ、イメージ的に自身、地味だと述べる面を危機管理能力の高さによって補いたいという。

 総裁選前の記者会見では「小泉首相のようなリーダーシップは発揮できない」と述べ、自身が官房長官として仕えた首相のひとり、小泉純一郎(Junichiro Koizum)氏と比較してカリスマ性に欠ける点を自認する福田氏だが、仲裁役として長年発揮してきた巧みな調整力は、波乱続きだった安倍政権後の自民党が切に必要とするものだ。

 ほかの多くの政治家ら同様、福田氏も政治家の家系出身だ。父の福田赳夫(Takeo Fukuda)氏は1976年から78年まで首相を務め、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国歴訪の際に表明した対東南アジア新政策の基本原則「福田ドクトリン」で知られる。故福田元首相は同原則の中で、日本が2度と軍事大国とならないこと、東南アジア諸国との信頼関係の構築などを提唱した。

 息子である福田氏も、中国や韓国との間に高まった緊張関係の緩和が優先課題だと強調している。中国や韓国政府が日本の軍国主義時代の象徴とみなす靖国神社へ小泉元首相が参拝を続けたことについて、福田氏は表立って批判した。安倍首相は靖国参拝派だが、周辺国との関係修復のために首相在任中は参拝を避けた。

 福田氏は群馬県出身。早稲田大学を卒業後、石油企業に17年間勤務。在職中に中東への関心を高めたとされ、また自身「日本のサラリーマンの常識的価値観」をそこで学んだと述べている。やはり政治家一家出身の貴代子さんと結婚、子どもは3人で、長男は福田氏の秘書を務めている。

 福田氏自身も政界進出は自身の父の秘書官としてからだが、1990年に衆議院議員に初当選した当時には、すでに安倍首相の現在の年齢と同じ53歳だった。しかし、内閣の広報長官であり首相の右腕である内閣官房長官として、森内閣および小泉内閣を通じ歴代最長の1289日間、在任した。(c)Kyoko Hasegawa