【9月19日 AFP】北朝鮮政府は18日、一部米メディアで報道されているシリアへの核協力を否定し、当初から述べているとおり核物質の国外流出は行っておらず、「全くの作り話」だと主張した。北朝鮮外務省報道官が国営朝鮮中央通信社(KCNA)を通じて発表した声明の中で明らかにした。

 その中で報道官は、「ニューヨーク・タイムズ(New York Times)など一部米メディアの報道は事実無根だ。わが国は2006年10月に核物質の国外流出は行わないことを言明し、その方針を固持している。シリアとの核協力説は、朝米関係の正常化と、6か国協議の進展の頓挫を狙う作り話に過ぎない」とし、報道を厳しく非難している。

 専門家らは、対シリア「核協力説」が米朝関係正常化の障害になるのではないかとみている。

 北朝鮮によるシリアへの「核協力説」は、9月6日に起きたイスラエル軍機によるシリア領空侵犯、爆薬投下をきっかけに表面化。一部米メディアはこれについて、北朝鮮・シリアの合同核開発計画の中断を狙ったものと報道していた。一方イスラエル側は、自国の軍事抑止力回復に役立ったと語っている。

 一方シリア側も、北朝鮮から核物質を受け取っているとの米報道を「真っ赤なうそ」と断固として否定している。

 北朝鮮による対シリア「核協力」を報じたワシントン・ポスト(Washington Post)は、「この『衝撃的』事実」の情報源をイスラエルの諜報部であるとしている。

 米国はかねてから、北朝鮮による核拡散、シリアによる中東のテログループへの資金提供を非難してきた。ロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官は、シリアと北朝鮮が核開発で協力すれば「大問題だ」と語っている。(c)AFP/Lim Chang-Won