2007年9月4日、中国北東部、遼寧(Liaoning)省瀋陽(Shenyang)で開催された第6回中国国際設備製造業博覧会(China International Equipment Manufacturing Industry and Aerospace exposition)の会場で、展示物の中国製衛星の写真撮影を妨げる憲兵隊関連の職員。(c)AFP
【9月5日 AFP】中国政府が軍事面での透明性を高めると約束したが、国際社会の要求に応える内容にはなりそうにない。専門家が4日、AFPの取材に対して語った。
中国政府は2日、国連(United Nations、UN)軍事費支出報告制度への参加や、国連軍備登録制度への復帰を発表。国防費や、通常兵器の保有と輸出に関するデータの報告を開始する。
中国の国防費は近年大幅に増加しており、米国やアジア諸国など国際社会の警戒を招いているが、中国はこうした情報開示への動きが、軍事面での透明性向上に向けた「大きな前進」だと主張している。
しかし専門家は、これらの国連制度には拘束力がなく、重要軍事情報の公開範囲は中国の裁量次第だと指摘する。
シンガポール・ナンヤン工科大学(Nanyang Technology University)の中国軍事専門家、Arthur Ding氏は「中国は慣例的に、軍事情報全般を機密扱いとしている。長く続いたこの慣例を変えるのは簡単ではない」と語る。
「中国が新たに提供する情報がどれだけ有用なものになるかは、中国側の判断次第となる。中国の出方によっては、単なる広報ショーになりかねない」という。
過去30年間の経済成長により繁栄する中国は、軍の近代化とハイテク化への投資に重点を置いてきた。今年3月に成立した中国の2007年度国防予算は、前年度比17.8%増の450億ドル(約5兆2000億円)。人民解放軍は既に世界最大の軍隊であり、総兵力は230万人に上る。
中国側が見せた透明性向上への協力姿勢は、内情を公開しても構わないと判断するほど中国が自国の強大さに自信を深めていることを示唆していると、上海の復旦大学(Fudan University)のShen Dingli教授は話す。同教授は、コフィ・アナン(Kofi Annan)前国連事務総長の顧問を務めた経歴を持つ。
一方でShen教授は、中国が透明性向上のための方策をとれば、諸外国の反中国感情が抑制され、同国の安全保障が向上する可能性もあると指摘する。
「(中国は)安全保障のために機密を保持する国家から、安全保障のために機密を共有する国家へと移行しつつある。これは中国の自信の表れだ」(Shen教授)
しかし、中国政府は軍事支出を実際より少なく発表しているとみられており、軍事力に関する真のデータを開示すると、中国の軍備増強に対する諸外国の警戒感をあおる結果となる恐れがあるため、データ情報の公開範囲は限定的になると専門家はみる。
「中国指導部は『中国の脅威』論争の再燃を懸念しているとみられる。真の数値は、公表された予算の2~3倍の可能性があるからだ」(Ding氏)
中国は国防予算に関してより詳細な情報提供を約束する一方で、国連軍備登録制度(United Nations Register of Conventional Arms)に復活し、情報を提供すると発表。
軍備登録制度は世界中の兵器移動の追跡を目的するが、中国は1996年に同制度への参加を停止。米国が台湾に中国の武器輸出に関する情報を提供したことに反発したためと伝えられている。(c)AFP/Dan Martin


