【9月3日 AFP】8、9日にシドニーで開催されるアジア太平洋経済協力会議(Asia-Pacific Economic CooperationAPEC)の首脳会談で、難航している世界貿易機関(World Trade OrganisationWTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド、Doha Round)の早急な再開を求める声明が発表されることが、AFPが3日に入手した声明草案で明らかになった。

 声明草案によると、APEC参加国首脳らは「ドーハ・ラウンドが年内に最終段階に入れるよう強く推し進めていくことを約束する。交渉によって貿易障壁が低くなり、加盟各国が競争できる自由、公平、安全な世界市場が形成されるだろう」とし、ドーハラウンド成功への希望を表明している。

 ただし、APEC首脳会談の準備会合に関係する東南アジアのある高官は、草案は難局打開に向けた具体策が盛り込まれておらず、迫力に欠けると指摘。また、米国が国内の農業補助金削減に向けどの程度準備を進めているかを明らかにすることと、米大統領が「貿易促進権限(ファストトラック)」を付与されることが必要不可欠だと語った。ファストトラックは6月末に失効したが、延長は議会で承認されていない。

 2001年に開始されたドーハラウンドは、新興市場や発展途上国が先進工業国向けの輸出品の関税引下げを要求していることから難航している。一方、先進国は新興国や発展途上国の工業製品をより多く輸入できる方法を模索している。(c)AFP