【8月28日 AFP】3日間の日程で中国を公式訪問中のドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は28日、政府系のシンクタンク「中国社会科学院(Chinese Academy of Social Science)」で講演し、人権尊重の重要性を訴えた。

 その中で同首相は、「中国は現在、かつてないほどの注目を全世界から浴びている。特に注目されているのが、言論の自由、報道の自由だ」と語った。

 講演に先立ち同首相は、国内で「言論の自由」の象徴的存在ともなっている李大同(Li Datong)氏など、4人のジャーナリストとも会談している。
 
 李氏は2006年1月、編集主幹を務める中国青年報(China Youth Daily)の付属紙に言論の自由を問う論文を掲載したことから、共産党中央宣伝部によって免職処分を言い渡された。同付属紙も停刊を余儀なくさせられたが、新たに政府寄りの編集体制を作り、その後、再刊している。

 メルケル首相との会談を終えた李氏はAFPに対し、「共産主義国家の東ドイツで育った同首相は、他の欧州諸国の指導者に比べると、独裁政権の下で生きる苦しみに対する理解が深い。今回の会談実現も、中国の民主主義の発展と、言論の自由に首相が個人的に強い関心を抱いていることのあらわれだろう」と語った。
 
 フランス・パリに拠点を置く報道の自由を訴えるジャーナリスト団体「国境なき記者団(Reporters Without Borders)は、世界各国の報道の自由度を示すランキングを発表しており、その中で中国は167か国中、163位となっている。(c)AFP/Peter Harmsen