【8月8日 AFP】トルコを訪問したイラクのヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相は7日、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)首相と会談し、イラク北部のクルド人自治区で活動する反政府武装組織、クルド労働者党(Kurdistan Workers’PartyPKK)の一掃に向けた相互協力に関する合意文書に署名したと発表した。

 エルドアン首相との共同記者会見でマリキ首相は、「(合意文書で)われわれはテロ組織、特にPKKに対抗するため相互に協力すると述べている」とし、「この協力体制が早期に開始されることを希望する。テロはわれわれの関係発展を阻止することはできない」と強調した。

 トルコ政府は、PKKがイラク北部のクルド人自治区で武器や爆発物を入手し、自由に活動を行っていると指摘しており、イラク政府および米政府がPKK一掃に向けて行動しない場合は、国境を越えて隣接するイラク北部のPKK拠点を攻撃すると警告していた。今年に入り、PKKはトルコ国内での攻撃を激化させている。

 両首相はまた、今回の合意により両国間の安全保障に対する相互協力にも道が開けたと主張。今後数日以内に行われる2国間高官協議で安全保障についても相互協力の合意文書がとりまとめられる見通しだ。

 ただし、マリキ政権は多くの問題を抱えており、またイラク北部では実質的な権限を持っていないため、イラクのクルド人を説得しPKKに対抗措置が取れるかどうかは疑問視されている。

 PKKはトルコ、米国、および国際社会の大半の国からテロ組織に指定されており、1984年以来、クルド人が多いトルコ南東部の独立を目指してトルコ国内で武装闘争を展開してきた。同組織の活動による犠牲者は、これまでに3万7000人以上に上るとされている。(c)AFP