【7月25日 AFP】21日に開票されたインド大統領選挙で、インド独立後初めての女性として大統領に選出されたプラティバ・パシル(Pratibha Patil)氏(72)が25日、就任した。宣誓式を終えて演説に立ったパシル新大統領は、同国の女性の権利向上に尽くし、また国内で広く行われている女児中絶を追放すると誓った。

 また新大統領は、9%以上の急成長率を見せているインド経済について、「インドは新たな進歩の時代の幕開けにある。新しい時代は一体となって努力するべきだ」とし、数億人に達する国内の貧困層もその恩恵を受けるべきだと主張した。

「この発展の過程において、社会のすべての階級が平等なパートナーであることをわれわれは保証しなければならない。一体となって努力し、経済成長を確実に維持し、その経済に人々が参加できるよう保証しなければならない」と強調し、インドの大統領職に実質的な権限はほとんどないとの考えを示したものの、「10億人以上の国民のいる経済発展途上国は、共に生き、共に進むことが大切」と国民に語りかけた。

 インドにまん延する社会悪について、栄養不良や乳幼児の死亡、女児の中絶などを社会から追放し、「貧困、無知、疾病と戦わねばならない」と強く誓った。さらに「教育の向上に取り組みたい。女性の地位の向上は私にとって特に重要だ」と述べた。
 
 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)によると、インドでは伝統的に女子よりも男子が好まれる傾向があり、現在でも1日平均7000人の女児が中絶されているという。またこの中絶の結果、インド人口の性別比には偏りが生じており、現在の割合は男性1000人に対し女性927人となっている。世界平均は、男性1000人に対し女性1050人の割合だ。(c)Elizabeth Roche