【7月24日 AFP】塩崎恭久(Yasuhisa Shiozaki)官房長官は24日の記者会見で、29日に投票が行われる参議院選挙の結果によって安倍晋三(Shinzo Abe)首相が退陣することはないと明言した。

 塩崎官房長官は、「参院選は政権選択の選挙ではない。今回も例外ではない」と強調した。衆議院で連立与党が過半数を大幅に上回っていることを念頭に置いた発言。

 また、自由民主党(Liberal Democratic PartyLDP)の中川昭一(Shoichi Nakagawa)政調会長も別の記者会見で、今回の選挙について「首相が辞める辞めないというのは別次元だ」とし、首相の進退問題には発展しないと強調した。

 ただし、3年ごとに半数が改選される参院選挙は、与党への信任を問う国民投票とみなされる場合が多い。1998年の参院選では与党が惨敗し、橋本龍太郎(Ryutaro Hashimoto)首相(当時)は退陣に追い込まれたが、それについて塩崎官房長官は「その時々の政権の判断だ」と一蹴した。

■自民敗北なら安倍首相不支持も

 一方、一部の自民党員は、参院選で連立与党が敗北した場合、安倍首相を支持しない意向を示唆している。

 NHKによると、渡辺喜美(Yoshimi Watanabe)行政改革担当相は23日夜に、「最終的に(政権運営が)行き詰まって、にっちもさっちも行かなくなれば政権選択になる」と発言した。

 政治評論家の有馬晴海(Harumi Arima)氏は、今回の選挙で自民党が大敗した場合には、安倍首相たたきに回る自民党議員も出てくると予想。中川政調会長などの首相側近は、選挙結果は安倍政権に影響しないと言い続けているが、衆院議員の間には不安が広がっていると指摘した。

 有馬氏はまた、安倍首相が引責辞任しない場合、次の衆院選で自民党が不利になるだろうとも述べた。

■苦境に立つ安倍首相

 安倍首相は、小泉純一郎(Junichiro Koizumi)前首相の後任として2006年9月に就任。当初は小泉前首相から引き継いだ過半数の議席を武器に、自身の信念に近い保守思考を推し進め、例えば第2次世界大戦以降タブーとなっていた、学校での「愛国心」教育を要求した。

 しかし世論調査では支持率が低下。社会保険庁が「消えた年金問題」の責任を認めたことを受け、選挙戦の焦点を切り替えた。高齢化が急速に進む日本では、年金問題は非常に重要となっている。

 最近の世論調査では、一連の閣僚の問題発言や不祥事を受けて安倍首相の支持率は約30%にまで落ち込んでいる。

 中川政調会長は「この時期に支持率が低いというのは非常に厳しい。しかし、これまでやってきたさまざまな改革については、批判よりも評価の方が高いと思っている」と強調。安倍首相の支持率低下については「問題は別のところにある」とし、閣僚の相次ぐ不祥事が原因だとの見方を示した。

 安倍首相に明確な後継者がいないことから、毎年首相が交代した1990年代のような、不安定な時代に逆戻りするのではないかとの憶測も広まっている。(c)AFP/Kyoko Hasegawa