【7月17日 AFP】政府は17日、前日の新潟県中越沖地震で東京電力(Tokyo Electric Power Co.TEPCO)の柏崎刈羽(Kashiwazaki-Kariwa)原子力発電所から放射性物質を含む水漏れが起きたことを受け、原発の耐震性強化に取り組むとの姿勢を示した。

 甘利明(Akira Amari)経済産業相は記者会見で、国内の各原発について「あらゆる規模、状況の地震に対する耐震性の確認作業を早急に行いたい」と言明。また、東京電力の勝俣恒久(Tsunehisa Katsumata)社長を経済産業省に呼び、火災への対応が遅れたことについて「人々に原発に対する不信感を抱かせる」と口頭で注意。「耐震安全性が確認できるまで運転再開を認めない」との方針を示した。

 一方、塩崎恭久(Yasuhisa Shiozaki)官房長官は別の記者会見で、「(今回の地震が)想定をどの程度上回ったのか慎重に検討し、確実に対応していかなければならない」と述べた。政府は前年、原発の耐震設計をつくる際の基準となる指針を改定している。

 16日の地震で東京電力の柏崎刈羽原発では稼動中の原子炉が緊急停止したほか、3号機タービン建屋外にある変圧器で火災が発生した。東電は同日午後、微量の放射性物質を含む水が日本海(Sea of Japan)に放出されたと発表。ただし法令で定める値以下であり、環境への影響はないとした。

 原子力発電に反対している国際環境保護団体「グリーンピース(Greenpeace)」は、今回の一件は地震やテロ攻撃によって、より深刻な原発事故が起きる危険性を明確に示したとの主張を発表した。

 地震大国の日本には、世界の大地震の約20%が集中する。一方で、天然資源が少ないため、電力需要の35%近くを原子力発電に依存しており、先進主要8か国の中ではフランスに次ぐ原発依存国だ。しかし、唯一の原爆被災国であることから日本の世論は放射能については特に敏感で、政府の原発増設案は国民の理解を得られにくいのが現状だ。(c)AFP