【6月9日 AFP】来日中の李登輝(Lee Teng-hui)台湾前総統は9日、日本政府が靖国神社問題について中国、韓国などに対し強硬な姿勢を示すべきだとの意見を表明した。

 記者会見に臨んだ李前総統は、靖国問題が「中国と韓国がみずからの国内問題の処理に手を焼いてきたことで発生したもの」との見方を示し、「日本政府は両国に対し、この問題であまりに弱腰の姿勢を取ってきた」と指摘した。

 また、「靖国問題を外国政府に批判される理由はない。国のために命を落とした若者らの名誉を称えることはきわめて自然なこと」と付け加えた。

 李前総統は7日、中国人や韓国人らの多くが過去の日本の軍国主義を象徴とする靖国神社を参拝し、物議を醸している。前総統は自身の靖国参拝について、「台湾が日本占領下だった1945年に日本海軍の兵士として死亡した兄の冥福を祈るため」と述べている。

 台湾は一般に中国や韓国、北朝鮮に比べ親日色が強いものの、多くの台湾の指導者は前総統による靖国参拝について、日本が台湾植民地支配を償っていないという理由から、強い遺憾の意を表明している。

 靖国神社には、台湾・朝鮮半島出身者を含む戦没者約250万人がまつられているが、とりわけA級戦犯14人が合祀(ごうし)されていることで議論を呼んできた。(c)AFP