【ソウル 16日 AFP】マカオ(Macau)の銀行、バンコ・デルタ・アジア(Banco Delta Asia、BDA)に凍結されていた北朝鮮関連資金問題で、北朝鮮が同資金の送金作業を進行中であることが15日、明らかになった。
朝鮮中央通信(KCNA)が北朝鮮外務省の声明として報じたもので、「BDA口座の北朝鮮資金2500万ドル(約30億円)を、第三国を通じて北朝鮮口座に送金する作業が進行中」としている。また、送金が終了すれば、2月の6者協議での合意事項である「核施設の稼働停止」を行う用意もあるとしている。
行き詰まり感のあった北朝鮮核問題に、ようやく解決の兆しが見えてきた形だ。しかし、送金方法や送金の完了時期については、明らかにしていない。
同通信によれば、北朝鮮はこれに続き、国際原子力機関(International Atomic Energy Agency、IAEA)代表団を即時招請し、核施設稼働停止後の段階的な措置について米国と「突っ込んだ話し合い」を行うとしている。
北朝鮮側の発表を受けて韓国の李在禎(イ・ジェジョン、Lee Jae Joung)統一相は、北朝鮮が「かつてないほど明確かつ前向き」に核施設稼働停止の意志を見せたと語った。
一方、韓国の宋旻淳(ソン・ミンスン、Song Min Soon)外交通商相は、同問題について「近い将来の解決を望む」と述べるにとどまった。
このような北朝鮮の動きについて、北朝鮮研究を専門とするYang Moo Jin慶南大(Kyungnam University)教授はAFPの取材に対し、「2月の6者協議合意に関して、参加国の間に拡がる北朝鮮への疑念を払拭(ふっしょく)したい狙いがある」と説明する。
また、送金問題が長引いたことについては、北朝鮮に「時間稼ぎ」の意図があったわけではなく「単に、国際間での送金手続きに慣れていなかっただけではないか」とみている。
米国政府は3月、北朝鮮の核問題解決に向け、それまで凍結していた北朝鮮の海外口座資金の解除を決定した。しかし、多くの金融機関が、マネーロンダリング(資金洗浄)などの不正疑惑がある北朝鮮資金を扱い信用が低下することを恐れ、送金に応じなかったことから、送金問題が滞っていた。
多国籍NGO、国際危機グループ(International Crisis Group)のピーター・ベック(Peter Beck)北東アジア研究所所長は、北朝鮮も事態の解決に前向きであるとしながらも、「今後の進展は非常に遅い」と予測する。
韓国がコメ支援を含む北朝鮮への経済支援再開を表明していることから、北朝鮮にとって6者協議の合意を順守する動機が、今のところ見あたらないためだ。同氏は、北朝鮮の核問題の進展をよそに、韓国が先走りするのではないかと懸念している。
写真は、マカオのBDA本店(4月27日撮影)。(c)AFP/MIKE CLARKE