【ワシントンD.C./米国 24日 AFP】アルベルト・ゴンザレス(Alberto Gonzales)司法長官は、連邦地検検事解雇問題でこれまでの主張と明らかに矛盾する事実が露呈し、政治問題のとなっている。

 ゴンザレス長官の証言に反して、2006年12月までに解雇された連邦地検検事正8人のうち7人の解雇を画策する会議に出席していたことが、23日夜に公表された書類で明らかになった。

■長官の会議出席を示すいくつもの証拠

 司法省が連邦議会に提出した電子メールや関連書類によると、2006年11月27日、ゴンザレス長官は1時間にわたり、解雇をする検事正の選別を行っていた、当時の司法省首席補佐官であったカイル・サンプソン(Kyle Sampson)氏と会議を持ったことが示されていた。

 会議の議題が検事正の将来についてのものだったことが、カレンダーへの書き込みからも明らかになっている。

 解雇する検事正の名簿はこの会議の数日後、ゴンザレス長官の会議室で最終的に決定され、12月7日、検事正7人は解雇を通告された。もう1人についてはこれ以前に解雇されている。

 また、この書類から、11月下旬の時点で、サンプソ前補佐官が誰を解雇するかで頭を悩ませていた状況も明らかになった。

 サンプソン前補佐官が23日、この問題を調査していた上院司法委員会に対し、宣誓をした上で証言する意向を示した直後、電子メールと関連書類は公表された。

 同長官は2週間前にも、報道関係者に対し、連邦地検検事正の解雇が、「サンプソン前補佐官の主導によるもの」であり、「この件について、経緯を話し合ったことはない」と自身の関与を否定していた。

■司法省は長官の会議への関与を否定

 司法省のBrian Roehrkasse広報担当官は、ゴンザレス長官とサンプソ前補佐官の会議について認めつつも、「現在得られる証拠は、解雇する連邦検事正の決定について実際に話し合ったことを示唆するものではない」と述べ、検事正の解雇について2人が話し合った証拠はないとの姿勢を強調している。

 解雇された検事正は、表向き職務上の能力不足が理由とされた。しかし、連邦議会はすぐに、解雇された検事正8人すべての能力の高さを知り、解雇が政治的な動機に基づいたものとの疑惑に火をつけることとなった。

 写真は20日、ワシントンD.C.のホワイトハウスで会見を開き、検事正の解雇について話しをするジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領。(c)AFP/Mandel NGAN