
【ワシントンD.C./米国 10日 AFP】衛星への攻撃に対抗するべく、米国が水面下で動きを見せている。いずれは「宇宙戦争」への対応も可能な小型衛星もあるという。2か月前に行われた中国の衛星破壊実験に対する、無言の反発ともいえるだろう。
中国が1月11日に自国の気象衛星を弾道ミサイルで破壊することに成功した際には、ホワイトハウスはニュースの発表を1週間保留にした後、控えめに遺憾の意を示すにとどめた。
■偵察衛星を破壊は米軍にとって「想定内」
米軍は中台間の紛争を想定し、既に、中国が米国の偵察衛星を破壊する兵器を開発していると予想していたため、衛星破壊実験に対する驚きはなかったはずと、専門家は見ている。
米国の軍事衛星は、2006年9月にも中国によってレーザー照射を受けた。また、衛星破壊実験に成功した1月11日以前にも、対衛星ミサイルが発射されていたが、この際は標的の破壊に失敗していたという。
米戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies、CSIS)のVincent Sabathier氏によると、「中国は衛星破壊に取り組んでいるが、これに対する適切な対策を米軍は既に取っている」という。アナリストらは、米軍が巧守織り交ぜた「counter-space」戦略を立てている指摘している。
またミサイル攻撃による衝撃が大きくならないよう、素早い打ち上げが可能で、紛争中でも補給できるような小さくて比較的安価なスパイ衛星を打ち上げるなど、空軍計画も幅広い支援も行われるという。
米国による対抗策の詳細は秘密にされており、確認することは難しい。だが3年前には、ステルス衛星製造計画が発覚。約95億ドル(約1兆1240億)の建設費をめぐって、抗議活動に発展した。
■無防備な宇宙への警告
2001年にドナルド・ラムズフェルド(Donald Rumsfeld)前国務長官が主催する会議が、宇宙版「真珠湾攻撃」の危険性を指摘して以来、米軍は無防備な衛星ネットワークの脆弱性について、常に頭を悩ませてきてきた。米軍は高速通信や偵察、ミサイルや戦艦のナビゲーションなど幅広い分野で衛星に依存している。民生用にいたっては数え切れないほどである。
米国の議員やアナリストらによると、中国の実験成功をうけて、議員らは防衛問題や宇宙問題の状況認識で統一認識を一層、強固なものにしたといわれる。
だが防衛情報センター(Center for Defense Information、CDI)のTheresa Hitchens氏は、「中国の衛星破壊兵器を攻撃するミサイル防衛システムを、宇宙に配備する必要があるかといった議論になれば、必ずしも意見の一致を見るとは思えない」と述べている。
米国は1985年に戦闘機から発射したミサイルで自国の衛星を破壊して以降、衛星破壊計画は一切発表していない。
写真は米航空宇宙局(NASA)提供された、宇宙観測衛星「テミス(THEMIS)」の発射のもよう。(2007年2月17日撮影)(c)AFP/NASA
ユーザー制作のスライドショーをご紹介。無料で簡単な会員登録で見られます。
拡大して見られた人気写真ランキング。会員登録で拡大写真が見られます。登録は無料で簡単。
AFPBB News に掲載している写真・見出し・記事の無断使用を禁じます。© AFPBB News