【ニューヨーク/米国 27日 AFP】国連総会は26日、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を否定する行為を非難する決議を全会一致で採択した。

■「ホロコーストが歴史的事実であるという認識の否定を認めない」

 米国が作成し、100か国以上が共同提案した決議案は、192か国で構成される国連総会が「ホロコーストの否定を無条件に非難する」という内容で、「ホロコーストが歴史的事実であるという認識の一部もしくはすべてを否定するいかなる行為も認めないように、全加盟国に求める」としている。

 決議の前文では「残虐な歴史的事実を無視しホロコーストを否定しようとする行為は、歴史を繰り返す危険性を高める」と指摘されている。

 採択は投票によるものではなく、議長提案に対し明確な反対意見が表明されなかった場合に採択されるコンセンサス方式だったとハヤ・ラシェッド・アル・ハリファ(Haya Rashed Al-Khalifa)総会議長は述べた。総会決議は、国連安全保障理事会理事国による決議と違い拘束力はないが、象徴的な意義を持つ。

■決議の背景には、イランによる「ホロコーストを否定」発言が

 決議は特定の国を名指ししていないが、イランでマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Mhmadinejad)大統領や指導者らがホロコーストを否定する発言を繰り返してきたことに対するものだと複数の外交官が話している。

 潘基文(パン・キムン、Ban Ki-Moon)事務総長は、アフマディネジャド大統領による「イスラエルは地図から消されるべき」との発言を受け、1月14日の就任直前にホロコーストを否定したり、特定の国を消去すべきとの発言は「許されない」と警告していた。

 国際社会も、イランがアフマディネジャド大統領が提示したホロコーストへの疑問を検証するために、12月に2日間の会議を開いたことを非難していた。

 写真は26日、米国のワシントンD.C.にある米国国立ホロコースト記念博物館の展示。26日は、国連が定めた国際ホロコースト記念日に当たる。(c)AFP/Getty Images/Brendan Smialowski