写真は16日、仁川空港に到着したウクイルさんと、再会を果たして涙ぐむ妻。(c)AFP/KANG BYUNG-GI
【ソウル/韓国 16日 AFP】1975年に北朝鮮に拉致され、最近になって中国に脱出していた韓国人の元漁船員が16日、31年ぶりに韓国に帰国し、家族と再会した。
帰国した男性は、イカ釣り漁船の元乗組員チェ・ウクイル(Choi Uk-Il)さん(67)。1975年に日本海の海上国境線近くで操業中、北朝鮮の警備船に漁船ごと拿捕(だほ)され、乗組員33人全員が拉致された。このうち1人は2006年脱出し、韓国に帰国した。
ウクイルさんは韓国の人権擁護団体の支援を受けて2006年12月に中国へ逃亡し、瀋陽(Shenyang)の韓国領事館に保護されていた。
テレビで報じられた仁川(Incheon Airport)空港到着後のウクイルさんは健康そうで、花輪を首にかけて韓国国旗を振った。その後、到着を待っていた家族らと空港で再会した。ウクイルさんは「拉致から31年ぶりの帰国を果たせ、大変うれしいです」と語り、一人息子を抱きしめ、傍らで妻と娘2人が泣き崩れた。
韓国政府は、朝鮮戦争(1950年-53年)停戦以来、韓国人485人が北朝鮮に拉致されたと主張している。一方、北朝鮮側は本人の意志に反して拘束した韓国人はいないとこれを否定している。
ウクイルさんのように拉致された韓国人のみならず、北朝鮮国内の飢餓状態や政治的抑圧を逃れ、国外に脱出した「脱北者」は数千人に達している。韓国は憲法下で朝鮮半島全体を領土と定めているため、脱北者たちは韓国人同様、韓国国内に居住する権利を持つ。
一方、ウクイルさんが中国に脱出し、韓国領事館に助けを求めた際、領事館側が当初、適切な手続きを拒否しようとしたことが問題となっている。ウクイルさんの妻は12月中に中国でウクイルさんと再会したが、その時点で領事館の支援を得られなかったため、いったん韓国への帰国を余儀なくされた。通商外交省は領事館の不適切な対応を謝罪し、担当官らに注意した。
写真は16日、仁川空港に到着したウクイルさんと、再会を果たして涙ぐむ妻。(c)AFP/KANG BYUNG-GI