【9月25日 AFP】腰痛には従来の治療法よりも「はり治療」が効果的だとするドイツの研究チームによる論文が24日、医学誌『Archives of Internal Medicine』に発表された。

 研究を主導したドイツのレーゲンスブルク大学(University of Regensburg)のミヒャエル・ハーケ(Michael Haake)博士率いるチームは、8年にわたり腰痛症状を抱える患者1162人(平均年齢50歳)を対象に臨床試験を行った。

 まず、対象患者を無作為に3グループにわけ、第1グループには、はりを皮下5-40ミリの深さまで刺す「中国式はり治療」を30分間、2週間おきに合計10回施術した。

 第2グループには、皮下1-3ミリにとどめる「疑似はり治療」を行った。

 残る第3グループには、薬物投与、理学療法、リハビリ運動などの「従来治療法」を施した。

 半年後、腰痛症状の改善がみられたと回答した患者は、「中国式はり治療」を受けたグループで47.6%、「疑似はり治療」のグループで44.2%だった。一方、「従来治療法」のグループでは27.4%にとどまった。

 また、施術後の効果の持続性についても、「はり治療」が「従来治療法」に勝った。

 これらのことから、痛みの発現、中枢神経系を介した痛みシグナルの伝達・制御に「はり治療」が有効であること、さらに、「はり治療」の作用機序(薬物が人体に作用するメカニズム)のほうが「従来治療法」の作用機序よりも優れていることが明らかだという。

 ハーケ博士は論文のなかで、「腰痛は生涯に70-85%の人々が経験する一般的な疾病ながら、痛みが長期におよぶことから、職場での欠勤や身体障害の主要因になっている」と指摘。「慢性腰痛の有効な治療法の1つ」として、「副作用や禁忌の心配もない」はり治療を推奨している。

 Archives of Internal Medicineは、米医学誌『Journal of the American Medical AssociationJAMA)』の姉妹誌。(c)AFP