【4月11日 AFP】ロシア正教会(Russian Orthodox Church)のキリル(Kirill)総主教は9日、女性が家事や子育てを超えた役割を担うことを促す「プロパガンダ(宣伝活動)」を公然と批判し、フェミニズムの危険性について警告した。発言の内容は10日、ロシア正教会のウェブサイトに掲載された。

 キリル総主教は「フェミニズムと呼ばれる現象は非常に危険だと思う」と述べ、「フェミニスト団体は、女性は結婚や家庭といった枠組みの外で自己実現すべきという見せ掛けの自由をうたっている」と非難した。

 総主教は「男性は(家の)外での物事に力を注ぐべきで、働いて金を稼がなければならないが、女性は常に子どもや家庭など内側に注意を向けるべきだ」と主張。その上で「こうした非常に重要な女性の役割が果たされない場合、他のすべて──家族、広い意味では母国──の破壊を招く」と警告した。

 超保守派で、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とも近い関係にあるキリル総主教は、政治的姿勢を隠すことなく反体制派の抗議運動を痛烈に批判してきた。

 ロシア正教会の聖堂でプーチン大統領を批判する曲を演奏した女性パンクバンド「プッシー・ライオット(Pussy Riot)」のメンバーが禁錮刑の判決を受けた時、キリル総主教は多くの信徒の懇願にもかかわらず厳しい判決を支持し、政府との密接な関係を浮き彫りにした。また、ロシアの人口減少に歯止めを掛ける運動の土台となる、いわゆる「家庭の価値観」を回復する政府の取り組みの擁護者でもある。(c)AFP