【2月28日 AFP】ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)は27日、バチカンのサンピエトロ広場(St Peter's Square)で最後の一般謁見(えっけん)を行い、自身の任期中には「荒波」の中を進むような時期もあったと語った。

 退位を翌28日に控えたベネディクト16世は、リラックスした様子で笑顔を浮かべながら、白いローマ法王専用車「パパモビル」に乗り、サンピエトロ広場を進んだ。雲一つ無い晴れ渡った空の下、法王を見送る歴史的瞬間を見届けるため、広場には15万人の信者が集まった。

 世界に12億人の信者を持つローマ・カトリックの指導者である法王は、歓声を上げる信者らに対し、「主は私たちに太陽とそよ風、そして大漁に恵まれた日々を与えてくださった。また、荒波や向かい風にさらされた時もあった。まるで神が居眠りをしていたかのように」と語った。この発言は、在位中に起きた複数のスキャンダルに言及したものとみられる。

「だが私は、神が船を共にしていることを常に知っていた。(カトリック)教会の船は私のものでも、私たちのものでもなく、神のものであり、神は決して船を沈ませたりしないということを、常に知っていた」

「私は孤独を感じたことは一度もなかった」

 来月行われるベネディクト16世の後継者を選出する会議「コンクラーベ(conclave)」では、115人の枢機卿が参加する予定。

 ベネディクト16世は退任後の28日夕から夜にかけ、ローマ(Rome)郊外にある避暑地カステルガンドルフォ(Castel Gandolfo)の夏の別荘にヘリコプターで移動し、数週間を過ごす予定だ。(c)AFP