【10月30日 AFP】中国国内の聖地や寺院に広がる株式上場や商行為を同国当局が厳しく批判している。

 同国内の宗教団体を管轄する国家宗教事務局は22日付でウェブサイト上に「寺院はいかなる形でも、『株式』や『合弁事業』といった活動に関わるべきではない」と声明を発表し、一部の仏教や道教寺院の株式上場による資金調達計画を批判した。

 日刊紙・環球時報(Global Times)によると、陝西(Shaanxi)省の法門寺(Famen Temple)が来年、香港株式市場への上場を予定しているほか、浙江(Zhejiang)省にある仏教の聖地、普陀山(Mount Putuo)も3年以内をめどに上場を計画している。

 また国家宗教事務局は、とりわけ「伝統文化の振興を口実に」信者から儲けを得る行為を非難している。「宗教とは無関係の場所で偽の僧侶を雇ったり、不法に献金箱を設けて寄付をだましとっているとの報告がある」他、観光客に高価な香の購入を強要したり、違法の運勢判断などが行われているという。中には信者や観光客を脅して金銭を巻き上げる例さえあると警告し、「こうした現象は、宗教および国内法に関する党方針に著しく反するもの」だと糾弾している。

 地元紙によれば、4月には北京(Beijing)でオレンジ色のけさを着て僧侶を装った男2人が、地下鉄の車内で酒を飲んだ後、高級ホテルに2人の女性を連れ込み逮捕された。

 中国共産党は弾圧的だった宗教政策を1970年代から緩和し、その結果、国内各地の仏教の聖地や寺院を訪れる人々が増加した。だが、現在も宗教団体は政府への届け出が義務付けられている。(c)AFP