【12月4日 AFP】宗教を信仰している人びとは、世界で推計5億人いる無神論者を、強姦犯と同じくらい信用していないとの研究結果が2日、専門誌「Journal of Personality and Social Psychology(パーソナリティ・社会心理学ジャーナル)」に掲載された。

 論文の主執筆者、カナダ・バンクーバー(Vancouver)のブリティッシュ・コロンビア大学(University of British Columbia)博士課程のウィル・ジェルベー(Will Gervais)氏(心理学専攻)は、「宗教を信仰している人びとが多数派の場所、つまり世界のほとんどで、無神論者は最も信用できない人びとのグループに入る」と述べた。

 研究によると、神への信仰を表に出す人は、信頼できる人として見られるのだという。特に、「神に監視された方が人間は善行をすると考える信者」の間でこの傾向が強かったと、共同執筆者のAra Norenzayan氏は語る。

「無神論者は、信仰を持たないことついて個人の形而上学的な問題だと考えるだろう。だが信仰者たちは、無視論者の信仰心のなさを、協力や誠実さを脅かす公的な問題だと考えることがある」と、Norenzayan氏は述べた。

 研究チームは、米国の成人350人とカナダの学生420人を対象に、複数の仮定にもとづいた質問やシナリオを投げかけた。研究の結果、「信用できない人」は、キリスト教徒やイスラム教徒、同性愛者の男性、フェミニスト、ユダヤ人よりも、無神論者である可能性が高いと考えられていることが分かった。無神論者と同程度に「信用できない」人びとは強姦犯だけだった。

 研究チームは、信仰者の無神論者に対する偏見は、嫌悪感や反感よりも、不信感によって動機付けられていることが分かったと結論づけた。

■米ギャラップ調査でも「無神論者」に不信感

 研究発表の前には、米世論調査企業ギャラップ(Gallup)の行った調査で、「さまざまな条件を満たした、無神論者の大統領候補」に投票すると回答した米国人がわずか45%で、複数の仮定上の少数派候補の中で最も低い支持率になっていた。また大半の人は、自分の子どもが無神論者と結婚することにも反対だった。

 ジェルベー氏は「無神論者が団結して目立つような強力な社会グループではないにもかかわらず、このような嫌悪感を受けていることは衝撃的だ」と語った。(c)AFP