【9月25日 AFP】チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世(76)は24日、「90歳ぐらいになったら」ダライ・ラマの輪廻(りんね)転生制度を続けるべきかどうかを決めると述べ、中国にはこの件についての発言権はないときっぱりと付け加えた。

 ダライ・ラマは、インド北部ダラムサラ(Dharamshala)で開かれたチベット仏教4大宗派の指導者の会合後、4200ワードに及ぶ声明を発表した。

 ダライ・ラマは声明で「90歳ぐらいになった時に、チベット仏教の伝統について、ラマ高僧やチベットの人びと、それにチベット仏教に関連する人々と相談し、ダライ・ラマの制度を存続させるべきか否かについて再評価する」と述べた。さらに、「そうした正統な方法で認められた転生以外には、中国を含むあらゆる者による政治目的のために擁立された候補者の承認も認可も、行われるべきではない」と指摘した。

 また、ダライ・ラマは「疑念や策略の入り込む余地がないように、次期ダライ・ラマを決めるための明確なガイドラインを肉体的・精神的に能力があるうちに」行うことを決めたと語った。

 多くの人びとは、中国が独自のダライ・ラマ継承者を選出するとみている。それにより2人のダライ・ラマ――中国当局が認めるダライ・ラマと、亡命政府または現在のダライ・ラマが認定するダライ・ラマ――が擁立される可能性が出てきている。

 同じことが1995年にチベット仏教で第2の高位者であるパンチェン・ラマ(Panchen Lama)の次期継承者を選んだときにも起きた。中国はダライ・ラマが選んだ次期パンチェン・ラマを拒否し、独自の転生者を選んだ。

 パンチェン・ラマ11世に中国政府が認定したギェンツェン・ノルブ(Gyaincain Norbu)氏(21)は、たびたび中国政府のチベット統治を称賛している。

 一方、ダライ・ラマがパンチェン・ラマ11世に認定したゲンドゥン・チューキ・ニマ(Gedhun Choekyi Nyima)氏は、1995年に中国当局に拘束されて以降、公の場に姿を現していない。(c)AFP/Tenzin Tsering

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