【8月10日 AFP】米非営利調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)は9日、2006~2009年の間に宗教に関係する暴力や迫害が増加したとの調査結果を発表した。迫害の対象となるのは、主にキリスト教徒とイスラム教徒だという。

 ピュー・リサーチ・センターの「宗教と国民生活に関するピュー・フォーラム(Pew Forum on Religion and Public Life)」は、「調査の結果、(06年半ばから09年半ばまでの)3年間の調査期間中に、キリスト教徒に対する政府、もしくは社会によるハラスメントは130か国(66パーセント)、イスラム教徒に対するハラスメントは117か国(59パーセント)で確認された」と述べた。

 地域別で見ると、政府が国民の信教の自由を侵害している比率は中東と北アフリカで最も高かった。

■欧州で宗教関連の社会対立が増加

 ブライアン・グリム(Brian Grim)氏率いる調査チームは、米国務省、国連(UN)、欧州連合理事会や複数の人権団体など18団体が公表した資料を細密に調査した。

 その結果、政府による宗教弾圧が最も行われているとされたのはエジプトで、以下イラン、サウジアラビア、ウズベキスタン、中国、モルディブ、マレーシア、ミャンマー、エリトリア、インドネシアが続いた。

 宗教に関連した社会的対立が最も多いとされたのはイラクで、以下インド、パキスタン、アフガニスタン、ソマリア、インドネシア、ナイジェリア、バングラデシュ、イスラエル、エジプトが続いた。

 どちらのリストにも欧州の国は上位10位にランクインしなかったが、宗教に関連した社会的対立が最も増加した10か国のうち5か国は、英国、ブルガリア、デンマーク、ロシア、スウェーデンが占めた。

■仏、セルビアで制約を強化

 フランスとセルビアの政府は、宗教に対する制約を大幅に増加させた。

 フランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領は2009年、イスラム教徒の女性が身体を覆って着用する衣服ブルカは「フランスの価値観とは相容れない」と発言。ブルカを禁止する法案が議論されるきっかけとなった。

 セルビアでは、プロテスタント福音派のグループやエホバの証人などの少数派宗教を政府が公的に認可していないため、これらの団体は公共メディアで番組を放送する権利を奪われている。(c)AFP/Karin Zeitvogel

【参考】宗教と国民生活に関するピュー・フォーラム(英語)