【5月22日 AFP】米国のキリスト伝道師が「最後の審判」の日がやってくると主張していた2011年5月21日は、おおむね普段と変わらない1日だった。

 米カリフォルニア(Caflifornia)州に拠点を置く宗教放送局「ファミリー・ラジオ(Family Radio)」の局長ハロルド・キャンピング(Harold Camping)さん(89)は、この日世界各地で現地時間の午後6時に、大地震とともに神に選ばれた地上のキリスト教徒が天に挙げられる「携挙」が起きると主張していた

 インターネットでは、古くなった洋服や靴を抜け殻のように地面に並べたり、ガスで膨らませた人形を空に浮かべたりして、本当に天に昇った人がいたように見せかけようというジョークもみられた。

 米国では首都ワシントンD.C.(Washington D.C.)で約400人が参加して携挙が起こらないことを祝う「世界の終わりパーティー」が企画された一方、仕事を辞めて街に出て、手遅れにならないうちに悔い改めるよう通行人を説得した人もいた。また米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)によると、失望したファミリー・ラジオの信奉者が自殺しないよう自殺防止ホットライン電話も設けられた。

 米国各地でパーティーを主催した、無神論者の市民としての自由や完全な政教分離などを求めて活動している団体「アメリカン・アセイスツ(American Atheists、「米国の無神論者たち」)」のデービッド・シルバーマン(David Silverman)会長は予言に反応することの危険性を指摘する。

「わたしたちは予言を信じる人たちを冗談の種にしたりしますが、それで傷つく人がいることも忘れてはなりません」とシルバーマン会長。「今回のできごとをきっかけに、頭を使うことを学んで欲しいと思います。2012年に同じことが起きないように」。一部の人の間では、マヤ歴で2012年の地球の滅亡が予言されていると考えられている。(c)AFP/Karin Zeitvogel

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