【9月11日 AFP】米同時多発テロから9年目となる11日に、米フロリダ(Florida)州にあるキリスト教福音派の教会がイスラム教の聖典コーランの焼却を計画していた問題で、同教会は態度を二転三転させた後の10日、改めて焼却の中止を発表した。

 同州ゲーンズビル(Gainesville)にある信者数約50人のキリスト教福音派教会「ダブ・ワールド・アウトリーチ・センター(Dove World Outreach Center)」の幹部、K・A・ポール(K.A. Paul)氏は同日記者会見し、「明日(11日)午後6時に計画していたコーラン焼却は100%行わないことを、はっきり宣言したい」と述べた。

 ポール氏は今週、計画の中止を発表してはすぐ撤回するなど考えを二転三転させていた同教会のテリー・ジョーンズ(Terry Jones)牧師と話し合っていた。

 同教会のコーラン焼却計画は、イスラム教徒らによる反発を招き、欧米諸国やイラク、アフガニスタンに駐留する各国軍に対する攻撃をいっせいに誘発しかねないとして、国際的に大きな懸念と批判が広がっていた。

■オバマ大統領も焼却中止を求める

 同時多発テロ発生から丸9年目の前日にあたる10日、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領はホワイトハウスで会見し、米軍に従事しているイスラム教徒の国民に敬意を表するなど、米国のイスラム教徒を強力に擁護し、真の敵は国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)をはじめとする「テロリスト」であることを見失ってはいけないと、国民に呼び掛けた。

「米国民同士が敵対してはいけない。われわれは『神の下のひとつの国』だ。神に対する呼び名は違うかもしれないが、それでもわれわれはひとつの国である」とオバマ大統領は述べた。

 批判が渦巻く中でジョーンズ牧師は9日、同時多発テロで崩壊したニューヨーク(New York)の世界貿易センター(World Trade Center)ビル跡地「グラウンド・ゼロ(Ground Zero)」近隣でモスク建設を計画しているイスラム教指導者(イマーム)らが、建設地を移転することと、11日に自分と会見することで合意したと述べ、一度はコーラン焼却計画を中止すると発表した。

■牧師はニューヨークに向かう

 しかし、モスク建設を計画するイスラム教指導者側は、建設計画の変更を否定した。またニューヨークのモスク計画に関わるイマームのフェイサル・アブドゥル・ラウフ(Feisal Abdul Rauf)師は10日、翌日ジョーンズ牧師と会見することを最終的に確認する決定期限として設けられた2時間以内に結論を出せず、この時点で2人の会見実現も見通しが怪しくなっていた。

  しかし、K・A・ポール氏は10日夜(日本時間11日午前)、ジョーンズ牧師がラウフ師と話し合うため空路ニューヨーク(New York)に向かったと記者団に語った。(c)AFP