【5月3日 AFP】ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI、83)は2日、処刑後のイエス・キリスト(Jesus Christ)の遺体を包んだとされる「トリノの聖骸布(Shroud of Turin)」が10年ぶりに公開されているイタリアのトリノ(Turin)の大聖堂を日帰りで訪問し、聖骸布の前で祈りをささげた。

 トリノの聖骸布は、キリスト教世界で最も神聖視される遺物の1つだが、謎に包まれており、真贋をめぐっては論争が続いている。

 ローマ法王は、聖骸布前で4分ほど祈りをささげた後、「血で描かれた聖像だ。むち打たれ、はり付けられ、脇腹を負傷した者の血だ」と述べ、「すべての血の痕跡が、愛と人生について語りかけている」と語った。法王は「聖像」という言葉を用い、「遺物」という表現を意図的に避けた。

 法王はその後、大聖堂そばのサンカルロ広場(Piazza San Carlo)で野外ミサを行い、集まった若者たちに向かって、自分の存在意義を十分に生かす選択をするようメッセージを送った。

 法王は、聖骸布の公開を発表した08年に「謎に包まれた表情をみつめることのできる素晴らしい機会になる。その表情は、人の心に無言で語りかけ、神の顔をそこに見出すように誘いかける」と聖骸布について述べていた。(c)AFP