【11月30日 AFP】(一部更新)スイスで29日、右派政党が提出したイスラム教のモスク(礼拝堂)に付属するミナレット(尖塔)の建築禁止案に関する国民投票が実施され、賛成票が57.5%と過半数を超え、可決された。州別集計でも26州中、22州で賛成票が上回った。

 結果を受けてスイス政府は、国内の少数派イスラム教徒に向けて、同案は「イスラム系住民の居住地域やイスラム教、イスラム文化を禁止するものではない」と保証する声明を発表した。同国には、旧ユーゴスラビアやトルコからの移民を中心に、約40万のイスラム教徒が暮らしている。

 ミナレット問題をめぐっては、同国最大政党の右派国民党(Swiss People's PartySVP)が、ミナレットを「宗教および政治権力の象徴」とみなし、建設の禁止を主張。国民投票の実施条件となる有権者10万人分の署名を1年半以内に集めることに成功し、ミナレット建設の全面禁止法案の是非を問う国民投票に持ち込んだ。

 欧州各国の右派政治家は投票結果を歓迎している。

 一方のイスラム社会からは、エジプトの大ムフティ(高位のイスラム法学者、指導者)のアリ・ゴマー(Ali Gomaa)師が、「信教の自由に対する攻撃であるのみならず、スイス内外のイスラム教徒に対する侮辱だ」と非難する声明を中東通信(MENA)を通じて発表するとともに、イスラム教徒らに冷静な対応を呼び掛けた。(c)AFP