【4月26日 AFP】サウジアラビアで人気拡大中の女性向けのスポーツクラブやトレーニングジムが、政府当局が男性向けのジムしか許可しないために、閉鎖の危機に追い込まれている。サウジアラビアの英字紙アラブ・ニューズ(Arab News)が26日、伝えた。

 アラブ・ニューズによると、女性用ジムを管轄する規制当局がないため、サウジアラビア全土にある十数件の民営の女性用ジムが閉鎖の危機に追い込まれているという。

 男性用ジムを管轄する「General Presidency for Sport and Youth Welfare」は、女性用ジムの管轄を許可されていない。そのため、主要都市で次々と誕生している女性用ジムは、無許可で違法に建設されているということになる。

■自宅以外で運動する場所がない女性たち

 フィットネスが好きなサウジアラビアの女性たちは、これまで自宅以外で運動をできる場所がないことについて不満を募らせてきた。男性用スポーツクラブに女性が入ることはできない。

 サウジアラビアのイスラム教保守主義者は、見知らぬ男女が同席することを厳格に禁止し、また、一族以外の男性の前では、女性は民族衣装のアバーヤ(Abaya)で全身を隠さなければならないとしている。

 投資家の中には、美容院と称して女性用ジムを開業した人もいる。また、中には「自然療法クリニック」と称した女性用ジムもあるという。

 弁護士のアブドルアジズ・アルカシム(Abdulaziz al-Qasim)氏は、この問題についてはどの省庁も責任を取りたくないのだと説明する。女性がスポーツをすることに反対する保守系のイスラム聖職者から非難されるのが目に見えているからだ。

 結果として、都市村落省が既存のジムの閉鎖を決定することになるとアルカシム氏は述べ、「(都市村落省が、)増え続けている無許可のスポーツクラブの閉鎖を決めることは明らかだ」と語った。(c)AFP