【12月7日 AFP】ロシア各地で、ロシア正教の司祭らが違反ドライバーに「説教」をするなど、警察と教会が協力した交通啓蒙運動が行われている。

 3日の新イズベスチヤ(Noviye Izvestia)紙によると、正教の司祭と警官が1組になってパトロールと交通違反取り締まりにあたっているのは、モスクワ南東700キロにあるペンザ(Penza)州クズネツク(Kuznetsk)市。

 司祭らは交通規則を破ったドライバーに、罰金の代わりに「精神的な助言」を与えているほか、事故の多い交差点に「聖水」をまく活動も行っている。クズネツク警察の交通課主任は「効果は期待をはるかに超えている」と喜んでいる。教会との協力が始まってから、事故はそれまでの三分の二に減ったという。

 またシベリア(Siberia)地方東部の都市チタ(Chita)市では11月、旅人の守護神といわれる聖ニコラス(St. Nicholas)の像を、司祭らがドライバーに配るキャンペーンを行った。

 さらにロシア極東のカムチャツカ半島(Kamchatka Peninsula)でも、「神とともにある生に遅すぎることはない」と題された交通キャンペーンで、危険な交差点に聖水をまいている。

 ロシア憲法下では政教分離が保証されているが、国家政策として無神論を掲げていた旧ソ連の崩壊後は、歴史的に支配的だったロシア正教が、あらためて強力な政治勢力として浮上してきている。(c)AFP