インドネシア・ジョグジャカルタ(Yogyakarta)の駅前で客待ちをする、トランスジェンダーのエリンさん(2008年10月17日撮影)。(c)AFP/ADEK BERRY
【11月24日 AFP】ピンクのスカーフで髪を覆いロングドレスに身を包んだ、敬けんなイスラム教徒の主婦・マリャニ(Maryani)さん(48)は、こうつぶやく。「わたしのペニスは、神様からの贈り物です」
彼女は、男として生まれ、カトリック教徒として育てられた。ジョグジャカルタ(Yogyakarta)のトランスジェンダーのコミュニティーの中で、夜な夜な酒に溺れ、売春で生計を立てる日々を何年か過ごしたあとで、イスラム教に目覚め、改宗した。
現在は、8歳の娘を養子として育てながら、仲間の「ワリア(waria)」(トランスジェンダーの意)たちをイスラム教に導く仕事をしている。今年7月、狭い路地にある自宅を改装して、インドネシア初のワリアのためのイスラム学校を創設した。
週2回のコーランの授業には、さまざまな身なりをした20人程度のワリアたちが集まってくる。みんな、目が充血しており、徹夜で飲み明かしたり客待ちをしていた形跡がうかがわれる。
マリャニさんは「ワリアだって人間だ。わたしたちにも、天国へ行く権利、地獄へ堕ちる権利がある。生を与えられたのだから、神様のことを常に意識する必要がある」と話す。
男性でも女性でもないワリアは、世界最大のイスラム教徒人口を抱える同国で、長らく「第3の性」として知られてきた。具体的には、女性として生きることを望む男性を指し、ホルモン注射や乳房の移植手術などを受ける者もいる。だが、性転換手術は通常行われない。マリャニさんも、ペニスを切除するつもりはないと言う。「神から与えられたものに、感謝している。手術を受けたら神の意志に背くことになる」とマリャニさん。
ワリアは、ジョグジャカルタだけで300人程度おり、その多くが売春で生計を立てているとみられている。
マリャニさんの学校は、本物の男、または女になれと説くことを避けている。罰についても教えないようにしている。教師は、着任当初は戦々恐々としていたが、やがてワリアたちにも普通の感情、祈りたいという気持ち、神に従いたい心があることを知ったという。「わたしたちには、彼らに『男になりなさい』と言う権利はありません」(c)AFP/Aubrey Belford
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