【9月16日 AFP】インドネシアで開催中のミス・ワールド(Miss World)世界大会は国内のイスラム強硬派から激しい非難を浴びているが、同大会にさらなる挑戦者が現れた──イスラム教徒限定の美人コンテストだ。

 インドネシアの首都ジャカルタ(Jakarta)で18日、「ムスリマ(女性イスラム教徒)・ワールド(Muslimah World)」が開催される。同コンテスト創設者のエカ・シャンティ(Eka Shanti)氏はコンテストについて14日、「ミス・ワールドに対するイスラムの回答」と語った。

「ムスリマ・ワールドは美人コンテストだが要求されることはミス・ワールドとは大きく異なっている。信心深く、良い模範になる人物で、近代化された今日の世界の中で上手に精神生活のバランスをとっていることを示さなければならない」

 インドネシアではミス・ワールドに対する批判の声が相次ぎ、ビーチファッション部門でビキニ審査の中止を決定した。イスラム強硬派による大会の中止を求める抗議行動は1か月以上にわたって続いており、過激な反対派は大会主催者の肖像画を燃やしてミス・ワールドを「汚らわしい」「ポルノ」だと呼んでいる。

 ムスリマ・ワールドの決勝出場者は、500人以上の中から選ばれた20人。予選はオンラインで行われ、聖典コーランの1節の朗読や、イスラム教のヘッドスカーフを身に付けた経緯についてのアピールが行われた。ムスリマ・ワールドは出場者にヘッドスカーフの着用を義務づけている。

 決勝出場者の出身国はイラン、マレーシア、ブルネイ、バングラデシュ、ナイジェリア、インドネシアで、コンテストではイスラム教ファッションに身を包んで行進する。主催者のシャンティ氏は、髪の毛や肩などの「慎みのない」体の部分を見せなくても美しくなれることを若いイスラム教徒の女性たちに見せる機会だと述べている。一方でシャンティ氏はインドネシアが多様性のある国で多くの宗教があることを認め、ミス・ワールドの中止を求める強硬派を支持していないことを語った。

 15日には「エレガンス集会」と名付けられたイベントが開催され、ムスリマ・ワールドのファイナリストとヘッドスカーフを着用した女性数百人が参加した。

 一方、ミス・ワールドの出場者たちは14日も、イスラム強硬派の「イスラム防衛者戦線(Islamic Defenders Front)」のメンバーら約300人から再び批判の声を浴びせられた。首都ジャカルタで行われたデモでは、参加者が、「ミス・ワールドは娼婦コンテスト」と書かれたプラカードを掲げていた。(c)AFP/Angela Dewan