【7月30日 AFP】英国のロンドン市消防局(London Fire Brigade)は29日、手錠が外れなくなって助けを求める人が増加していることを明らかにした。その一因には、ベストセラー官能小説「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ(Fifty Shades of Grey)」の影響もあるかもしれないという。

 同消防局は過去3年間に、手錠を外せなくなった79人を救助したという。この他、性器からリングが外れなくなった男性9人や、性器がトースターと掃除機から抜けなくなった男性もそれぞれ1人ずつ助けたという。

 デーブ・ブラウン(Dave Brown)消防士は声明で、「『フィフティ・シェイズ』の影響なのかは分からないが、手錠などのグッズが関わる事故の数は増えているようだ」として、「救助される人の大半は、救急隊員が到着する頃には間違いなくフィフティ・シェイズ・オブ・(グレイならぬ)レッドの顔つきをしているはず」と語った。

 同国の作家E・L・ジェームズ(E. L. James)がSM的な性関係を描いた「フィフティ・シェイズ」シリーズ3部作は7000万部以上が売れている。ロンドン市消防局は、寝室で手錠を使う場合は「常に鍵を手元に置いておく」よう呼び掛けている。

■過去3年で約1300件

 今回の発表には、「手錠が外せない、便座から抜けない等」の緊急事態を強調することで、類似の事故を減らそうという狙いがある。同消防局によると、1件の救助につき290ポンド(約4万4000円)以上の税金が費やされているという。過去3年間で、同消防局が同様の事例に対応したケースは約1300件に上り、平均すれば1日1件以上の計算になる。

 中には、おまるや便座、マッサージチェアに頭を突っ込んで抜けなくなった子どもや、シュレッダーから手が抜けなくなった人、頭からタンバリンが外れなくなった若者もいたという。

 また、指輪が指から抜けなくなったという事例も500件以上報告されている。同消防局の広報担当者は「シンプルなアドバイス」として「指輪が入りにくいと思ったら、無理にはめない」よう呼び掛けた。ただ「常識の範囲で」としながらも、「本物の緊急事態」が起こった場合はためらわず通報するよう促している。(c)AFP