【7月5日 AFP】あるイラン人女性による遠泳の記録について、イランの関係当局は、着用していた服がイスラム法(Sharia)にのっとったものでなかったとの理由で認めない方針だという。

 海や川など自然の中で長距離を泳ぐオープンウオータースイミングで、18キロの距離を8時間で泳ぎ切ったと主張するのは、イラン人女性のエルハム・アスガリ(Elham Asghari)さん(32)。水泳のインストラクターであるアスガリさんは、同国北部にあるカスピ海(Caspian Sea)の女性専用ビーチから6月11日にこの遠泳に挑戦したという。

 アスガリさんは、動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)に投稿した動画で、同国のスポーツ・青年省が、遠泳で着用した服がイスラム法にのっとったものでなかったことを理由に記録登録を拒否していることを明らかにした。

 26日のイラン紙バハール(Bahar)は、アスガリさんの言葉を次のように引用した。「私はイスラムの服を着用していたし、(水泳)連盟の許可を得て海に入った」。しかしスポーツ・青年副大臣が、アスガリさんの着衣についてオープンウオータースイミングに適していなかったとの見解を示しており、これを理由に連盟理事が記録の登録を拒否しているという。

 アスガリさんによると、6月の挑戦では(全身を覆う)ボディースーツ、帽子、スカーフを着用し、水にぬれると約2.7キロの重さにもなったという。

 イランでは国籍・宗教を問わず、女性は頭髪と身体を衣服で覆うことが義務付けられ、また過剰な化粧やマニキュアの使用は避けなければならない。

 家族向けのウェブサイト「Mehrkhane.com.」は、水泳連盟で女性に関する事柄を担当する相談役の言葉を次のように引用している。「(遠泳には)連盟の人間が立ち会っていないため、彼女が本当に18キロを泳いだのかは不明だ。女性によるオープンウオータースイミングは、イランのスポーツ・青年省の定めるルールに反するもので、過去3年間に競技の開催はない」

 水泳連盟の別の専門委員も、オープンウオータースイミングで登録されている記録はないと述べる。さらに国際連盟が認めているのは、5、10、15、25キロでの競技で、アスガリさんの主張する(18キロの)記録は認定されないとし「彼女が成し遂げたことはあくまで個人的なもので、連盟やスポーツ・青年省とは無関係だ」と批判している。

 こうした連盟や関連行政による一連の対応に対して、アスガリさんは戦う姿勢を明らかにした。フェイスブックのページでは、自ら「私は諦めない」と綴り、また支持者の1人は「私たちは応援している。ぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇったいに諦めないで。あなたは強い女性なのだから」とのメッセージを送った。(c)AFP