【6月14日 AFP】国際労働機関(International Labour OrganizationILO)は12日、同日の児童労働反対世界デーに合わせて報告書を発表し、世界の児童家事労働者が1050万人に上ることを明らかにした。報告書によると、奴隷に近い労働環境となっている可能性があり、うち650万人が5~14歳、またその約75%が少女だという。

 ILOの児童労働撤廃計画の責任者、コンスタンス・トーマス(Constance Thomas)氏は、「多くの児童家事労働の現状は、子ども権利の重大な違反であるだけでなく、多くの国家または国際的な発展目標の達成における障害になっている」と述べ、児童労働の搾取をなくすための国際的な取り組みに逆行するものだと指摘した。

 ILOによると、児童家事労働の問題は世界的なものだが、ブルキナファソ、ガーナ、コートジボワール、マリなど、サハラ以南のアフリカ諸国では特に顕著だという。パキスタンやネパールの農村部では、借金返済のために子どもが働きに出されることがあり、またハイチでも自然災害から逃れて来た子どもを含む、数十万人の子どもたちが奴隷と大して変わらない家事労働を強いられているケースが見られる。さらにアフリカのエチオピアでは毎年、数千人の少女が使用人として中東地域へ働きに出されているという。

 こうした子どもたちは通常、他人や雇い主の家で、掃除やアイロンかけ、料理や庭仕事、水くみのほか、子どもの面倒を見たりお年寄りの世話をしたりする。肉体的・精神的・性的な暴力の対象になりやすく、また虐待的な労働条件を強いられることも多い。家族から引き離されるケースがしばしば見られ、世間一般の目が届かないことから雇い主に大きく依存することになる。場合によっては、売春を強制されることもあるという。

 トーマス氏は「児童家事労働の明確な確認、防止、撤廃のための強固な法的枠組みが必要だ。そして合法的な労働年齢に達した少年少女らには、適切な労働条件を提供することが求められる」と述べた。

 ILOはまた、雇い主の家族との関係が曖昧なため、子どもの家事労働は多くの国で児童労働として認識されていないと指摘する。働いていても労働者と見なされなず、家族環境の中で生活していても家族の一員として扱われない。この「孤立状態」が搾取を許してしまうと説明した。ただこのような現状は、一般的に「見えにくく」なっていることから、問題の解決が難しくなっているという。(c)AFP