【5月14日 AFP】ニューヨーク(New York)、マンハッタン(Manhattan)のイーストリバー(East River)そばにある駐車場で、エードリアナ・アルタリさんは勇気を振り絞って足を地面から持ち上げ、よろめきながら、市の最新公共交通機関を運転する──自転車だ。

 32歳のエンジニア、アルタリさんは無料の自転車講習会に参加していた。ニューヨークでは、イエローキャブその他の4輪車の交通渋滞で知られる同市に革命をもたらす計画が、準備の最終段階に入っている。

 今月27日、スポンサーの米シティバンク(Citibank)から名前を採った「シティバイク(Citi Bikes)」数千台が、市内のハイテク駐輪場に登場する。パリ(Paris)など世界各都市で成功を収めた事例をモデルにした自転車シェアリングプログラムだ。

 アルタリさんの参加した講習会には女性を中心におよそ20人の成人が参加した。「子どものころに何度も転倒した。だから二度と自転車には乗らないと決めた。でも決意したわ」とアルタリさんは語る。「怖いけれど楽しい」

 自転車シェアリングプログラムは、当初は年間パスを持った人だけが利用できる。無料で短時間乗れるサービスなどは、来月2日から開始される予定だ。

■45分までは無料、年間パスは1万円

 市内には、すでに300か所の自転車ステーションが設置された。およそ100ドル(約1万円)の年間パスの購入者も8000人以上に上った。

 当面は約6000台の自転車が用意される。目標は、600か所のステーションに1万台の自転車を用意することだ。中国杭州(Hangzhou)の6万台、パリの2万台に続く世界で3番目の規模になる。

 無料のサイクリングは45分間まで。それ以上の時間乗りたい場合には、1日乗車券や1週間チケット、年間パスなどを購入する必要がある。

 ライターのエリザベス・ハダドさん(26)は、「ニューヨークで自転車に乗るのは怖いし危険なこともある」と語る。しかしヘルメットを装備していれば「とてもよい選択肢になりうる」と指摘し、「フランスでも試したけれど、素晴らしかった」と語った。

 ハダドさんは、現状のニューヨークの自転車に欠けているものはたった1つだと語る。「(自転車の)カゴよ」(c)AFP/Brigitte Dusseau