【4月16日 AFP】2013年ピュリツァー賞(Pulitzer Prize)が15日発表され、特集報道写真部門では、壁が穴だらけになった狙撃用の隠れ家に潜むシリア反体制派戦闘員の姿を捉えたフランス通信(Agence France-PresseAFP)のフリーランスカメラマン、ハビエル・マンサーノ(Javier Manzano)氏が受賞した。

 受賞写真は昨年10月、シリア北部にある同国の最大都市アレッポ(Aleppo)で撮影された。アサルトライフルを持った2人の男が写り、うち1人は隠れ家の壁に開いた穴から銃身を外につきだしている。銃弾や榴散弾によってトタン板の壁にできた幾つもの穴から、屋外の光が筋となって差し込んでいる。

 トタン板の壁と戦闘員らとの間には大きな袋が積み重なり、戦闘員らの正面にある壁にはアラビア語の言葉が書かれている。光の筋を除き、隠れ家はその大部分が暗闇に閉ざされている。

■メキシコ、アフガン、シリアで活動

 メキシコ出身のマンサーノ氏は、現在はトルコ・イスタンブール(Istanbul)を拠点に活動している。受賞写真は自身の手でピュリツァー賞審査団に提出した。

 同賞のウェブサイトによると、18歳で米国に渡ったマンサーノ氏がこれまで撮影した写真の多くは、米国とメキシコの国境に関連した問題を扱ったものだ。新聞業界で写真・動画ジャーナリストとしてキャリアをスタートさせ、その後、テレビ業界や電子メディアでの仕事も手がけるようになった。2009年に前雇用主のロッキー・マウンテン・ニューズ(Rocky Mountain News)が閉鎖された後は、メキシコの麻薬戦争、アフガニスタンとシリアの紛争を追うフリーランスジャーナリストとして活動してきた。

■米紙ニューヨーク・タイムズは4部門で受賞

 15日は他部門の受賞者も発表され、国際報道部門では中国の温家宝(Wen Jiabao)前首相の親族による巨額蓄財など中国政府上層部で横行する汚職についての記事を執筆した米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)のデービッド・バーボザ(David Barboza)上海支局長が受賞した。これを含め、同紙は今年、計4つのピュリツァー賞を受賞している。

 速報報道部門には、米コロラド(Colorado)州の映画館で昨年起きた銃乱射事件を報じた地方紙デンバー・ポスト(Denver Post)のスタッフが輝いた。

 フィクション部門には、米作家アダム・ジョンソン(Adam Johnson)氏の小説「The Orphan Master's Son」が輝いた。審査団は同小説を「北朝鮮の全体主義の深みや人間の心の最も深い部分への冒険へと読者をいざなう、綿密に作り込まれた小説」と評している。(c)AFP/Brigitte Dusseau