【4月2日 AFP】キプロスの首都ニコシア(Nicosia)で1日、同国を襲う深刻な金融危機のあおりを受けた人々への支援金や食料を集めるための慈善コンサートが開かれ、数万人が参加した。

「キプロス・エイド(Cyprus Aid)」と銘打たれた同コンサートは、複数の支援団体が主催した「団結と手助けのコンサート」で、キプロスとギリシャから集まった約50人のアーティストが午後から夜中まで演奏を続けた。

 参加者は、日々の生活に苦しむ家族のための乾燥食品を持ち寄ることになっている。経済危機にあえぐキプロス政府は、国際機関が救済措置の見返りとして要求していた厳しい条件をのむことを余儀なくされた。

 今回のコンサートは、ニコシア旧市街を取り囲む16世紀頃に造られたベネチア様式の城壁周辺の野外で開催され、壁沿いには参加者が持ち寄った食料品の箱が並べられた。

 警察官の1人によると参加者の数は「数万人」で、若者や、親子連れ、高齢の夫婦が多かったという。

 参加した歯科医の女性は「私たちは困っている人々を助けるために来ました。今は手助けができるけれど、明日もできるかは分かりません」と語った。コンサートの主催団体の1つ「アルキオニデス(Alkionides)」のメンバー、メリナ・シュクログル(Melina Shukuroglou)さんは、経済危機の責任はキプロスの政治家と銀行家にあると批判し、「(経済)危機が国内で広まるにつれ、支援を必要とする人はさらに増える」と語った。

 警察官のレオニダス(Leonidas)さんによると、すでに現金が底をついて生活必需品を買えなくなった人は多い。「物を買うために5ユーロ払うのは簡単なこと。だけど、彼らにとってはそれが一大事なのです」。レオニダスさんの妻は、ギリシャ系キプロス人は1974年にトルコ人が島の北3分の1に進攻したことがきっかけで、助け合いを学んだと話す。「団結は続いています」

 ブルガリア出身でキプロス人男性と結婚した教師のネリー・キリアク(Nelly Kiriakou)さんは、この慈善コンサートのような取り組みが続くことを願っていると語った。マリオス・コンスタンティヌ(Marios Constantinou)さんは「キプロスはここ2週間、とても深刻な状況にありました。このコンサートで、どんな困難に直面しても、私たちは共にあるということを、心に刻みました」と付け加えた。 (c)AFP/Tony Gamal Gabriel