【2月20日 AFP】世界報道写真財団(World Press Photo)が選ぶ「2013年世界報道写真大賞(World Press Photo Award)」に、パレスチナ自治区ガザ(Gaza)地区でイスラエル軍の空爆によって殺害された父子3人の葬列の写真が選ばれ、撮影したスウェーデン日刊紙ダーゲンス・ニュヘテル(Dagens Nyheter)所属の写真記者ポール・ハンセン(Paul Hansen)氏が同賞を受賞した。

 受賞作は、2012年11月20日にガザ市(Gaza City)で、2歳のスヘイブ・ヒジャジ君と兄で3歳のムハマド君の遺体を運ぶ葬列を撮影したもの。葬列後方には、同じ空爆で殺害された父親のフアードさんの遺体も確認できる。

 審査員のマユ・モアナ(Mayu Mohanna)氏は「この写真の強さは、大人たちの怒りと悲しみ、それと子供たちの無垢さを対比させているところにある。忘れることのできない1枚となった」と述べている。

 また今回の「世界報道写真コンテスト(World Press Photo Contest)」の「速報」部門の2位と3位には、AFPが配信した内戦下のシリア・アレッポ(Aleppo)からのシリーズ写真が入賞した。2位を受賞したイタリアの写真家ファビオ・ブッチャレッリ(Fabio Bucciarelli)氏のシリーズには、屋根の上で携行式ロケット弾の発射準備を進めるシリア反体制派の自由シリア軍(Free Syrian ArmyFSA)戦闘員の姿が捉えられている。3位となった米国のハビエル・マンサーノ(Javier Manzano)氏の写真は、真っ暗な部屋に弾丸で空いた穴から光が差し込む中、銃を構える反体制派戦闘員の姿を撮影したものだ。

 32歳のブッチャレッリ氏は電話を通じてAFPに対し「自分やハビエル・マンサーノを含む多くの写真家たちがシリアでの仕事によって受賞でき、さらに多くの写真を人々に届けられることを幸運に思う。またニュース取材のために亡くなったジャーナリストたちがいることを全ての人に覚えていてほしい」と語った。

 パリを拠点とする国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(Reporters Without BordersRSF)」とAFPによれば、シリア内戦では少なくとも20人のジャーナリストが死亡している。一方、同内戦での死者について国連(UN)は、累計で約7万人に達していると発表している。

 今年の世界報道写真大賞の審査員は報道写真やドキュメンタリー写真のプロ写真家19人が、世界124か国5666人から提出された10万3481枚の写真を審査した。(c)AFP